英国、インフレ退治で米国に先行-早期に利下げに踏み切る可能性も
(ブルームバーグ): 英国は米国よりも速いペースでインフレを抑制し始めており、イングランド銀行(英中央銀行)が米連邦準備制度よりも先に利下げに踏み切る可能性がある。
英国では今週発表されるインフレ統計で3月の消費者物価指数(CPI)上昇率が一段と低下する一方、失業率は上昇する可能性が高い。対照的に、米国では予想外のインフレ率の上昇と失業率の低下が報告され、経済が力強さを増している。
これらの指標は大きな転換を意味し、投資家は英中銀が今年、借り入れコスト引き下げに向けた世界的な動きで米国に先行する可能性があるとの見方を強めている。米国の利下げ時期予想は9月に先送りされた一方、英国は8月に利下げをするとの見方が市場に広がっている。
RBCキャピタル・マーケッツのストラテジスト、メグム・ムヒッチ氏は「英国のインフレ率は過去2回の発表で下振れし、この動きは続くと思われる」と指摘した。
それでも、トレーダーは英中銀の早期利下げを確信してはいない。マン、 ハスケル、グリーン氏をはじめとする金融政策委員会(MPC)メンバーはインフレ圧力に対する懸念が長引くことを示唆している。また、市場での米国の影響が大きいことも英国が先に利下げすることを躊躇(ちゅうちょ)する理由になる。
短期金融市場ではここ数週間、英政策見通しが一進一退を繰り返している。先週は、当局者コメントと米国のインフレ率が予想を上回ったことから、英国の積極的な利下げ観測が後退した。
英中銀の利下げはまだ先、市場の観測修正促す-グリーン委員
それでも、一部アナリストは英中銀の立場は変化し、インフレ率は2%の目標まで低下する可能性が高く、数カ月内に金利を引き下げることが可能だと主張し始めている。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のダン・ハンソン、アナ・アンドラーデ両氏は15日のリポートで「英中銀は米連邦準備制度理事会(FRB)の引力に抵抗できる」と書いている。「異なるインフレ力学、英中銀の政策実績、限定的な為替レートの影響から、英中銀が6月にも利下げに踏み切り、市場が予想する以上の利下げを実施することをFRBが妨げることはないだろう」と分析した。