コロナ禍、授業中断で泳ぎの習熟に差 水に慣れ命守る「特訓」小学校にコーチ派遣
岐阜県羽島郡二町教育委員会は、コロナ禍に水泳の授業ができなかった小学3、4年生を対象に、“水に慣れる”授業を実施している。通常は1年生の時に行う初歩的な水泳授業を経験していないことから「水に入るのが怖い」と感じる児童が例年よりも多いことを受け、各校にスイミングスクールのコーチを派遣。夏休みを前に、水難事故を防ぐ狙いもある。 同教委によると、笠松、岐南町の小中学校では2020~22年度に水泳の授業を中止。23年度もコロナ禍前と比べると授業時間が少なく、スイミングスクールに通う児童とそれ以外とで習熟度の差が広がっているのが現状という。 水を怖がり、顔をつけることができない児童もいることから、苦手意識は高学年になるほど克服が難しいと考え、「水に慣れる」「水に浮かぶ」といった基本的な技術を身に付ける授業を計画した。コロナ禍で水泳の授業を経験していない新任教員の指導法を学ぶ場にという意図もある。今月中旬のプール開きから、各校にコーチを派遣している。 岐南町みやまちの西小学校では19日、3年生約60人にコーチ2人と教員1人が付き、授業を実施。水に顔をつけられない児童には、コーチの男性が手のひらに水をため「まずはここにつけてみよう」と促すと、児童は恐る恐る顔をつけ、最後には潜れるようになっていた。授業を受けた児童(8)は「コーチから助言をもらい、今までで一番長くけのびができた」と喜んだ。 20年には笠松町の木曽川で水遊びをしていた小学6年の男児が亡くなるなど、水難事故も後を絶たない。同教委では本年度から、消防署の協力で着衣水泳やライフジャケットの使い方を学ぶ授業も始める。同教委社会教育課の藤枝豊和課長は「いざという時に自分の命を守る泳ぎ方を身に付けてほしい」と話した。
岐阜新聞社