居酒屋チェーン「酔っ手羽」の闇営業パロポスターをカラテカ入江が提訴「自分の会社を守るため闘いました」店側は和解金90万円を支払い
2019年に発覚したいわゆる“闇営業騒動”で吉本興業から契約を解消された元芸人・入江慎也さんが、自身の顔や著書の写真を勝手に使ったパロディポスターを店内に掲示していた飲食店チェーン経営会社を訴えた。名誉棄損で損害賠償を求めた訴訟は今月、会社側が入江さんに謝罪し90万円を支払うことで和解が成立。蔓延しているとみられる、著名人の顔や名前を勝手に使った客集めに歯止めをかける一歩になるだろうか。 〈画像〉店舗に堂々と4年間貼られていた闇営業パロディポスター
騒動直後から4年越しの抗議
訴えられた会社は都内を中心に30店舗以上を展開する「株式会社プロジェクトM」。問題のポスターは同社の「居酒屋革命 酔っ手羽 恵比寿店」に貼られていた。 「闇営業承ります‼」という文字の下、「㊙」印をバックに、自著『入江式 のしあがる力(ちから。)』を手にした入江さんの写真が配置されている。 よくよく見れば、書名を『のしあがる闇営業の力』と変えられたうえ、入江さんの顔には犯罪者風に目を隠す黒いラインが入っている。 「アーイエーイ、オーイエーイ、オレイリエ」という芸人時代のギャグをもじった「あーイエ、おーイエ、酔っ手羽イェイ」の文字もある。 ポスター下部には「酔っ手羽では20名様以上のご予約で闇営業(時間外営業)承ります。会社には内緒でやりますので言わないで下さい。ギャラ(飲み代)はもちろん頂きます。」との文句。 営業時間外にも宴会のために店を営業することを「闇営業」と呼び、入江さんをその言葉の象徴として登場させたものだ。無論、入江さん側は写真の使用許可申請はいっさい受けていない。 入江さんは2019年6月に吉本興業を契約解除された直後からこのポスターの存在を知っていたが、最近まで対処できなかったという。なぜか。 「後輩と友達から『こんなひどいの貼ってますよ』ってLINEがきたんです。2019年の8月か9月、僕が契約解除になってすぐくらいですかね。訴えたほうがいいってそのとき言われたんですけど、僕も騒動の真っただ中で怖くて動けないと思ったんです」(入江さん) 吉本興業を契約解除された後、再起を図るため清掃業のアルバイトを始めていた入江さんは、騒動が大きくなり迷惑をかけた仲間の芸人にも影響が及ぶのではと恐れ、一度は泣き寝入りの道を選んだのだ。 そのため、このポスターは貼られ続けたが、その後、入江さんの環境は変わり、気持ちにも変化が生まれた。コロナ禍を経て入江さんは清掃会社「ピカピカ」を起業。事業は少しずつ拡大し、今では14人の従業員を抱えるまでになった。 そして、昨年「まだ貼ってるよ。これひどいよね」「風評被害もあるから剥がしてもらったほうがいいよ」と友人がLINEで知らせてくれたことを機に、入江さんは決意する。 「(自分が)闇営業、直営業でルール、秩序を破ったってことはそうなんですけど、でも警察沙汰にはなっていないんです。なのに、目に黒い線が入ったポスターで犯罪者みたいにされて。 闇営業っていう(目で見られる)のを僕は払拭したくて清掃の仕事に励んでいたとこもあるんです。(ピカピカを)立ち上げたときは1人ですけど、いま社員が14名ぐらいいる。あのポスターを見た親が、自分の子をピカピカに入社させるかっていったら、させないと思うんですよ、絶対に。 お客さんも頼まないですよね、あんなポスターにされてる社長の会社なんて。だから、やっぱさすがに『これは言わなきゃな』とは思いましたね。言えることは言っていかないと。自分の会社を守るのは自分しかいないので」(入江さん)