紙芝居で戦時下の安房知る 平和考える集いに40人 鴨川の有志団体(千葉県)
戦争のむごさ、愚かさを後世に伝えようと活動する鴨川市の有志団体「戦争を語り、伝える会in鴨川」(田中房江会長)は6日、平和を考える集いを、同市西条公民館で開いた。市民ら40人が、紙芝居で戦時下の生活を知り、平和への思いを新たにした。 この団体は、「(先の大戦が)当時の鴨川の人たちに、どんな思いや影を落としたのか、記録として残していこう」と、2015年5月から活動している。 夏休みに合わせた集いでは、これまで戦艦「武蔵」の元搭乗員、特攻艇「震洋」の建造に携わった男性ら戦争体験者を招き、体験談を聞いている。今回は、退職女性教職員の会安房支部による紙芝居「平和への願い」の上演を企画した。 この紙芝居は、同支部の会員が25年ほど前の平和イベントに合わせ、「教え子を再び戦場に送るな」をスローガンに手作りしたもの。 勝山で起きた列車への機銃掃射、白浜が受けた艦砲射撃といった被害、配給や灯火統制、学校での軍事教練など、安房を中心に戦時中の生活の中で起きた21のエピソードがまとめられている。 集いでは、もんぺ姿の支部の会員が語り手を務め、場面ごとに抑揚を付けた言葉の演出で、会場を紙芝居の世界に引き込んだ。 終戦時に3歳だったという南房総市の男性(82)は、「文も絵もよく練り上げてあり、素晴らしい紙芝居。この紙芝居は、後世に戦争を伝える語り部そのもの」と話していた。 伝える会の田中会長は「私も小学校5年生の時に戦争となり、栃木県に学童疎開した。戦争を現実の問題として考えてもらうきっかけになれば」と話している。 (伊丹賢)