処理水を「外交カード」に……中国、日本産の食品に“放射線検査” 放出前にナゼ? 専門家「半導体規制への報復、我慢比べに」
中国が日本の海産物に放射線検査を行い、通関の手続きに時間がかかっています。日本産の米や菓子類にも影響が及んでいます。専門家によると、日本による半導体装置の輸出規制を受け、中国は福島第一原発の処理水の放出が始まる前から外交カードにしています。
■「処理水」めぐり通関手続きに遅れ
有働由美子キャスター 「中国・北京にある日本料理店では、日本から仕入れた食材をウリにしているものの、生けすには魚がほとんどいない状況になっています。中国が日本の海産物に、放射線検査を実施している影響です」 「これは、福島第一原発の処理水の放出に対する中国の対抗措置で、通関の手続きに時間がかかっています。これまで3日で届いていたものが2週間かかる場合もあるといいます」 「そして海産物だけでなく、日本産の米や菓子類などにも影響が出ていることが新たに分かりました。処理水の放出はまだ始まっていないのに、なぜ中国はこんなことをするのでしょうか?」
■生産者側に「損失」与え…中国の狙い
小栗泉・日本テレビ解説委員長 「IAEA(国際原子力機関)のお墨付きも出たのになぜ、と思いますよね。中国に詳しい神田外語大学の興梠一郎教授は『外交カードにしている』と指摘しています」 「興梠教授によると、『半導体チップ』と『処理水をめぐる日本の食品』との戦いです。23日から日本政府は、先端半導体の製造に必要な検査や洗浄などの装置を、輸出管理の規制対象に加えました。中国にとって日本は重要な輸入元のため、大打撃ということです」 「興梠教授によると、この規制強化に対する報復として、日本産の食品の通関を遅れさせ、日本の生産者サイドに損失を生ませることで、生産者と日本政府の間の分断を図り、日本政府に揺さぶりをかけています」 有働キャスター 「輸出規制を緩めるまでは続けるということになりますか?」 小栗委員長 「そうです。興梠教授は『我慢比べになる』と言います」
■興梠教授「西側諸国からの発信は有効」
小栗委員長 「ただ、IAEAは実際に現地調査をして、処理水の放出計画は安全基準を満たしていると評価しました。その調査団には中国の専門家も含まれているのに、この国際機関の評価すらおとしめるということなら、何を基準にするのか、という疑問も出てきます」 「興梠教授は、こうした点をアメリカやEUなど西側諸国から発信してもらうことなどは今後有効だろう、とみています」