家族との日本旅行の合間に“立ちんぼ”を買いに来る外国人男性――同世代Dが見た歌舞伎町“立ちんぼ”の変遷と観光地化 #ydocs
10人以上の男性が次々と…
大久保公園の通りを見渡すと、自分の父親ほどの年代の男性に声をかけられる女性や、次から次へと別の男性に声をかけられる女性の姿がありました。 取材中、10人以上の男性に声をかけられる女性もいました。その周りには、“交渉決裂”を待つ別の男性が順番待ちをする状態にまでになる場面も…。 青母連のスタッフによると、1度売春を終えると彼女たちはまた同じ場所に戻って立つことを繰り返すのだといいます。 「お姉さん、今晩遊ばない?」 大久保公園での取材を終え帰ろうとしたところ、私も後ろから1人の男性に突然声をかけられました。振り向くと、立っていたのは40代後半~50代前半くらいのスーツ姿の男性。 「3万円までなら出してもいいかな」 「避妊もしていいよ」 矢継ぎ早に“条件”を伝えられました。 これが“交渉”なのかと思うと同時に、気軽に売春交渉が行われていることに対する怖さを感じました。既婚者だというこの男性に、現在取材中であることを伝えると、足早に街中へと去っていきました。 「この通りでは違法行為に対して誰一人罪の意識がない…」、そんな風に感じてしまうほど異様な感覚を覚えました。
「撮ってんじゃねえよ!」“観光地化”した大久保公園
2024年4月、新宿・歌舞伎町のホストクラブでは「売り掛け」と呼ばれるツケ払いが廃止されました。「立ちんぼ」をする女性の中には、多額の売掛金を返済するために立っている女性も多かったといいます。 では、売掛が廃止され「立ちんぼ」女性たちはどうなったのでしょうか? 2024年6月、私は再び新宿・大久保公園を訪れました。 午後9時、通りにはスマホを見ながら立つ2、3人の女性の姿が。去年取材した時よりも、人数はかなり減ったように見えます。 「大久保公園がかなり有名な場所になってしまったので、みんなすぐそばのホテル街の方に移動したんですよ」 青母連のスタッフによると、ホストクラブの売り掛け廃止後、立つ場所が変わり、立ちんぼの数は減るどころか、実際は増えているというのです。 すると取材中に突然、「撮ってんじゃねぇよ!消せよ!」という女性の怒号が辺りに響き渡りました。 見ると、立っていた女性の一人が、スマートフォンを持った男性を追いかけ回しています。大久保公園の“立ちんぼ”が有名になったことで、興味本位で動画を撮影する人や、SNSで配信を行う人もこの場所に集まるように。そんな中、自分が撮影されていることに気づいた女性が怒りの声を上げていたのです。 “立ちんぼ”スポットとして一躍有名となったこの街で、違法な路上売春は増え続けていました。