「応援するのをやめる」…心無い言葉を糧に女子プロゴルファーになった”ママさんルーキー”が描く夢
昨年、女子ゴルフのプロテスト4度目の挑戦で合格した神谷和奏(かみや・わかな、22)。2歳の娘・咲凜(えみり)ちゃんを連れての毎日のスケジュールは大忙しだ。 神谷を支える夫の幸宏さん、2歳の娘・咲凜(えみり)ちゃんとの「家族ショット」 「練習に出るときは朝6時には起きて、娘が起きるまでの1時間くらいで仕事に出る夫と子どもの朝ごはんや洗濯など大急ぎで準備します。保育園に送ったあとは、10時半からゴルフ練習場に来て、お昼過ぎくらいまで打ち込みをして、そのあとは家でトレーニングをして、夕方の5時に娘のお迎えに行ってます」 もちろんゴルフ場へ練習ラウンドに出るときの朝はもっと早い。 「ラウンドするときは朝7時くらいに予約を取っていて、夫と娘が寝ている間に家を出ます。そのときは夫が子どもの食事の準備と保育園に送ってくれていて、私はラウンドが終わってから、子どもを迎えに行ってます」 ゴルフコーチで夫の幸宏さんとも協力しながら、家庭とゴルフを両立する生活を送っているが、「昨年6月から娘が保育園に行くようになってからは、逆に練習時間がありすぎるんじゃないかってくらい(笑)。それまでは本当に余裕がなかった。練習場の打席の後ろに乳児用のベビーバスケットやベビーカーを置いて球を打っていました。起きたらあやして、また寝かしつけての繰り返しで、集中はできませんが、それが日常でしたからね」と笑う。 今では妊娠、出産を経てから、かえってゴルフがすごく楽しくなったという。 「一歩引いて、周りが見えるようになった部分が多いのかな。練習に行ける喜びやゴルフができる楽しみができましたし、もっと集中して練習するようになりました」 神谷は19歳の時に結婚し、’21年9月に娘の咲凜(えみり)ちゃんを出産。昨年のプロテスト合格でツアー制度施行後では初の「ママさんルーキー」ということで注目され、表向きは聞こえがいい。ただ、プロゴルファーを目指していた10代の選手の急な妊娠・結婚となると、周囲はきっと驚いたはずだ。 そもそも、10代での出産と子育てとなれば、ゴルフの道を断念せざるを得ない可能性もあったのではないか。 「子どもを授かったのを分かってから、一番強く思ったのは子育てをしっかりすること。その次にゴルフとどう向き合っていくべきかでした。夫とは出産後にどのようにしてゴルフに取り組んでいくべきかをたくさん話し合ったのですが、『子育てもゴルフも頑張ろう』って言ってくれました。両親に報告すると、『決めたことならサポートする』と言ってくれたので本当に嬉しかったです」 夫婦2人で出した答えとはいえ、「周囲の目、周りの声が怖くなることもあった」という。 「当時は夫が悪く言われたりもしましたし、子育てしながらプロゴルファーとしてやっていけるほど甘い世界じゃないと言う人もいました。お世話になっている人たちに報告しにいったときに、『応援するのをやめる』、『もう応援できない』と言われたこともありました」