「お前、とろいんだよ!」56歳従業員を踏切自殺に見せて殺害か 会社社長ら4人を殺人・監禁容疑で逮捕「肛門に棒、熱湯、プロレス技」壮絶いじめの果て
「賭けに出た」と語った捜査幹部
動画の中で高野さんは、肛門に棒を入れられたり、熱湯をかけられたり、プロレス技をかけられていた。佐々木容疑者らが「お前、とろいんだよ!」と笑いながらいじめる様子も含まれていたという。 高野さんは2015年に入社し、途中で一度退職したが数カ月してまた復職し、事件まで勤務していた。 「警視庁はこの間、佐々木容疑者らが日常的に高野さんを集団でいじめていたとみている。そして、このいじめの果てに4人が高野さんを死に追いやったとして、今回の逮捕に踏み切ったのです」(同) だが、容疑者らは高野さんに直接手を下していない。しかも車で連れ回したり現場にも行っていない佐々木、岩出両容疑者までもが殺人・監禁容疑で逮捕された。 「捜査一課は佐々木容疑者らも共謀して殺害に関わったことを示す、通信記録などの“隠し球”を握っていると思われます。ただそれでも殺人罪に問うには証拠が不十分な可能性がある。今回の逮捕で捜査幹部は『賭けに出た』とはっきり認めている。起訴時には自殺教唆や自殺幇助などの罪名に変わる可能性があります」(同)
記者が踏切に立って感じた恐怖
記者は高野さんが亡くなった深夜0時頃、現場を訪れた。 車も人の往来もなく、周囲の住宅街は寝静まっている。踏切は幅3メートル程の、車が通れない小さなものだった。 20分ほどの滞在時間中に踏切を渡ったのは自転車に乗った若い男性一人だけだった。日中、踏切の目の前にある住宅を訪ねて当日の様子を聞いてみたが、「寝入っていたから全然気づかなかった」と話した。 終電が近づく時間帯だが、数分置きに上り下りと次々と列車はやってくる。列車が途切れた合間に踏切の真ん中に立ってみた。 遠くの踏切からカンカンと鳴る警報音が近づいてきて、やがて静寂を打ち破るように間近の警報音がけたたましく鳴り出した。同時に両サイドの警報ランプが赤く灯り出す。 続いて「ウィーン」と不気味な音を立てながら遮断機が降り、線路の先の闇の向こう側から列車の光が見えてきた。このまま立ち尽くして列車の到来を待った高野さんを想像すると、恐怖を感じた。 背後に “見張り”の視線を感じる中、高野さんはどんな思いで最期を迎えたのだろうか。 後編【板橋踏切殺人・監禁事件 決め手を欠いた警視庁は「逮捕直前ラスト12時間の任意聴取」に勝負をかけた 起訴時に「罪名が軽くなる可能性がある」】では、発生から1年かけて殺人・監禁罪を適用して事件着手に至った警視庁捜査一課の執念の捜査について詳報している。
デイリー新潮編集部
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