【独自】「コーチには“演技”が必要。あえて“ダメ人間”も見せるべき」 日大悪質タックル問題で打ち砕かれた“教育論” 内田正人元監督が激白(1)
■「コーチには“演技”が必要。“ダメ人間”をあえて見せるべき」
世間では「間違った指導を行った」と揶揄される内田氏だが、日本一を決める「甲子園ボウル」を21回も制した、名門チームを作り上げた人物でもある。 竹山:どうやって常勝チーム、強いチームに持っていったんですか? 内田:価値観をフットボールだけに集中させること。朝から晩までフットボールを考える。それで次の日になったら授業に出る。やっぱり批判受けたんです。でも、勝つためにはそれをやらなければいけない。 「根性」はすごく大事だと思う。「勝利至上主義」はあまり聞こえは良くないけど、チームの規律をちゃんとしなくてはいけないし、そういう目標を立てて1つになってフットボール漬けになるというのが、その子たちにとって一番プラスになると思います。 片方は、良い選手・エリートだけを集めて勝つ。だけど、もう片方には、叩き上げで勝つチームを作るっていうのも、1つの教育ではある。スポーツの本質というのは、お金持ちであろうと貧乏であろうと、本人がやりたければできるもの。スポーツをやりたいんだけどできない子がどんどん増えていくというのは、よくないと思うんです。 竹山:貧困家庭の子どもがサッカーやりたいと思っても、強いチームに入れないんですよね。 内田:そうなんですよ。そこで“叩き上げのスポーツ”もないと、平等じゃないと思うんです。 竹山:精神論で厳しく指導した子たちが恐怖を覚えるとか、そのスポーツが嫌いになるといったことについては? 内田:そうならないように、コーチが“演技”するんです。精神論だけで指導すると、コーチがイカれてると、学生に思わせてしまう。コーチたちによく言っていたのは、「練習を離れたら“この親父どうしようもないな”というところも見せなさい」と。 竹山:あえて見せなさいと。 内田:あえて“ダメ人間”も見せておくべき。 長い時間をかけ、指導してきた中で完成した、内田氏独自の“教育論”。それが、あのタックル問題で打ち砕かれた。 (『ABEMA Prime』より)