地方でも減る「家族の数」 女性の単身世帯も増加、「闇バイト」標的の懸念も
国立社会保障・人口問題研究所が12日に公表した令和6年の「日本の世帯数の将来推計(都道府県別)」では、地方を中心に世帯数の減少が急速に進む一方、高齢者の一人暮らしの割合は増加する傾向が浮き彫りになった。石破茂首相は地方創生を再起動する「地方創生2・0」を重点政策に掲げるが、高齢化や人口減少に歯止めをかけるのは至難の業だ。増加する高齢の単身世帯の地域社会とのつながりや防犯対策の強化支援などの施策も急務となる。 【地図でみる】全世帯に占める1人暮らしの割合 推計では、1世帯当たりの「平均世帯人員」が令和32年には2年と比べて全ての都道府県で減少。全国平均は2年の2・21から32年は1・92人まで下がる。2年時点で平均世帯人員が2人未満は東京都の1・92のみだったが、22年には26都道府県、32年は34都道府県に拡大。32年までの減少幅が大きいのは、秋田県(0・48人減)▽福島県(0・47人減)▽青森、岩手両県(いずれも0・44人減)-などと東北地方に集中している。 一人暮らしの「単独世帯」の割合も全国的に増加傾向にあるが、このうち女性が世帯主の単独世帯も32年には2年と比べ29都府県で増加。埼玉県で32・5%増、滋賀県で32・4%増などと高い伸び率が見込まれている。一般的に現役時代に非正規雇用で低賃金で働いていたり、育児や介護などで離職していた高齢女性は低年金や無年金が多い傾向が指摘されており、今後は高齢女性の貧困問題の対応が不可欠となりそうだ。 一方、32年の65歳以上の人のうち単独世帯となっている「独居率」もすべての都道府県で上昇し、東京都や大阪府など5都府県では30%を超えると推計された。今年に入って首都圏で相次いでいる「闇バイト」を実行役とした強盗事件では、独居老人の家が標的とされたケースもあり、今後増加が見込まれる高齢者の独居世帯の防犯対策は今後の重要な政策テーマとなる可能性もある。 日本総研チーフスペシャリストの村上芽氏は「高齢世帯と社会とのつながりを保つような、地域の活動を支援していく重要性が増す。個々の世帯の防犯を強調しすぎるよりも、外出を促すことで心身の健康との相乗効果に期待したい」と話した。(大島悠亮)