イスラエル、ハマス拠点ラファ攻略に再び照準-イランの脅威緩和で
(ブルームバーグ): イスラエルの関心はイランからパレスチナ自治区ガザ南部の都市ラファへと戻りつつある。イスラエルはラファがガザで最後に残ったイスラム組織ハマスの拠点だとしている。しかし国際社会には、ガザ全域からラファに流れ込んだ100万人超の避難民に甚大な被害が及ぶのではないかとの懸念が再び広がっている。
イランとの緊張が緩和する中、イスラエルのネタニヤフ首相は21日遅く、残る人質の解放と6カ月余り続く戦闘の勝利を目指し、ハマスへの「軍事・外交的圧力を強める」と表明した。これは以前から懸念されていたラファへの攻撃が差し迫っていることを示唆する。同市にはガザの全人口の約半分が避難している。
同首相は「われわれは間もなく、ハマスにさらなる痛烈な打撃を与えるだろう」と語った。
ネタニヤフ首相の発言の後、21日深夜から22日朝にかけて、ラファへの空爆が行われた。ハマスの保健当局によればパレスチナ人24人が死亡した。
イスラエル軍がラファ空爆、女性や子供ら24人死亡とガザ当局
イスラエルは以前から、ハマスの壊滅を目指しラファに地上侵攻する意向を示してきた。イスラエル軍当局者は5000-8000人のハマス戦闘員と一部のリーダーがラファに潜伏していると推定している。しかしラファへの侵攻はイランとの緊張激化に対応する必要が生じたことなどから、数週間保留されていた。
米国はイスラエルに対し、少なくとも多くの市民が避難している間はラファに侵攻しないよう強く求めている。
事情に詳しいイスラエル政府当局者によれば、イスラエルはラファへの侵攻方法について複数の選択肢を用意している。人道危機悪化につながる恐れがある一斉攻撃を必ずしも行う必要はなく、地区から地区へと軍を移動させ、その間に市民を避難させることも可能だという。
イスラエル公共放送「KAN」のアラビア語放送によれば、イスラエルはラファへの地上侵攻に備え、ガザの安全地帯を大幅に拡張する準備を進めている。約100万人の避難民収容を目指しており、5カ所の野戦病院設置も計画されているとした。