佐々木朗希がドジャース入りも!? 今オフにメジャー挑戦なら生まれる“メリット”とは
プロ野球はレギュラーシーズンが始まったばかりだが、すでに2024年オフの話題が出ている。米紙『USA Today』は複数のGMの話として、千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希がロサンゼルス・ドジャースと契約する可能性が高いことを報じた。佐々木はメジャー志向を明らかにしており、早ければ今オフにもメジャー挑戦するのではと噂されている。 【写真】ドジャース、高額年俸ランキングトップ10
今オフのメジャー挑戦なら契約内容は?
メジャーリーグ(MLB)の労使協定(CBA)では、25歳以下またはプロ野球選手として6年のキャリアを積んでいない者は、マイナー契約しか結ぶことができない。早い話がドラフトされた選手と同じ扱いを受けるということだ。 通常NPBからメジャー移籍を目指す場合には、最初からメジャー契約であることに加え、契約にマイナー昇格を禁ずる条項を含むことが多い。つまりメジャーでのチャンスが補償されているということだ。 一方で、ドラフト選手と同じ扱いを受ける佐々木がメジャーの試合に出場するには、まず40人枠に登録される必要があり、その上で26人のアクティブロースターに登録される必要がある。 例えば、今季ドジャースの先発ローテ5番目に入ったギャビン・ストーンは2020年ドラフトで指名され、40人枠に登録されるまで約3年かかった。40人枠に入るのは有望株と呼ばれる選手なら比較的容易なのだが、アクティブロースターに入るには、球団内の熾烈な枠争いを勝ち抜く必要がある。 漏れた場合はマイナー降格(オプション)となり、傘下球団でプレーすることになる。同様のケースで海を渡ったのが大谷翔平であるが、ロサンゼルス・エンゼルスは開幕ロースター入りを保証せずにパフォーマンスを見極める方針を採った。結局ロースター入りが発表されたのは、開幕直前の3月28日(日本時間29日)のことであった。
“いま”の佐々木朗希はメジャーで通用する?
佐々木のメジャー挑戦まではまだ時間があるため、情報が少ないのだが、2023年3月に行われたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では、メジャーのボール、機材を使ったトラッキングが可能であったため、米メディア『The Athletic』のEno Sarris記者が分析を公開している。Sarrisは球種の物理的指標で質を判断する『Stuff+』というモデルを用いている。 同モデルによれば、WBCで登板した先発投手の中で佐々木の『Stuff+』はメキシコ代表のフリオ・ウリアスに次いで2位であるという。ちなみに佐々木の下には2022年ナショナル・リーグ(NL)サイ・ヤング賞投手であるサンディ・アルカンタラや、2023年アメリカン・リーグ(AL)サイ・ヤング賞投票2位に入ったソニー・グレイがいる。 球速という要素のみに注目すれば、佐々木はすでにメジャートップレベルだ。速球の平均球速100マイル(約161キロ)というのは平均球速の上昇が激しいメジャーでも珍しく、2023年に達成したのはフォーシーム、シンカー合わせて4人しかおらず、しかもすべてリリーバーである。 先発投手ではゼロで、最速ではドジャースのボビー・ミラーのフォーシームで、平均球速99マイル(約159キロ)を記録している。スプリットの平均球速90マイル(約145キロ)は2023年に5人のリリーバーによって達成されており、先発投手での最速はアレックス・コブの89.5マイル(約144キロ)であった。 日本人投手がメジャー挑戦する際に頻繁に言われることだが、メジャーの投手でスプリット使いは珍しい。近年のスイーパー流行で、対逆利き打者(左投手→右打者、右投手→左打者)への中和剤としてスプリットが注目されてはいるものの、2023年では全体の2.2%しか用いられていない。 また、100球あたりの得失点期待値の変動は-0.50と、変化球の中ではフォークボールに次いで2位である。いまだメジャーの打者はスプリットに慣れているとは言えず、球速も踏まえれば有効な球種になるだろう。