【高校野球】震災から再出発した石川・輪島が初戦突破…3人で練習再開
◆春季高校野球石川県大会 ▽2回戦 輪島3-1七尾(28日・石川県立) 能登半島地震に見舞われた輪島が、3-1で七尾に勝利し、能登勢対決を制した。震災の大きな困難を乗り越え、選手全員が揃って公式戦に出場。何度もピンチを迎えたが、最速135キロのエース右腕、濱田勢生(2年)が粘り強く完投勝利を決めた。試合後、インタビューに応じた冨水諒一監督は、今までの苦労を思い出し、思わず涙をこぼした。「辛い、苦しいことがあったが、いろんな人に支えられた。満足に準備できず、ミスもあるだろうが、腐らずにプレーできた。試合できたことが一番、良かったです」と振り返った。 震災後、避難所や車中泊、知人宅などで避難生活する選手も多く、2月初旬に練習再開を呼びかけると、集まったのはわずか2、3人だったという。エース濱田は珠洲市で被災し、親の知人宅やホテルに避難。「1月は練習していない。避難先でバットを振ったり、走ったりしていました」と話す。その後は、徐々に人数は増えたが、グラウンドは大きく崩れており、日本航空石川のグラウンドを借りて練習を継続。自宅が全焼し、野球を続けることが困難な選手もいたが、3月末には全員が揃った。 現在も校舎の一部は立ち入り禁止で、グラウンド修復の目処は立っていない。困難は続く一方で、3月23日には甲子園を見学して大きな刺激を受けた。濱田は「ここに見に来るだけではなく、全員で甲子園に来ようと話し合った。支援してくれた方のためにも、次も粘り強く、勝ちきりたい」と決意。憧れの聖地を目指し、努力を続けながら一歩ずつ前に進む。(中田 康博) 〇…惜敗した七尾の西出純基監督「お互いに被災した生徒がいる中、選手が揃って全力を出し切れたのは良かったです。震災後は(グラウンドの使えなくなった)門前、能登と一緒に練習してきた。みんなに応援してもらえるように、楽しんでいる姿を見せたい」と夏に向けて前を向く。
報知新聞社