ヘンリー王子の回顧録がペーパーバックに 王室と和解する意思がないことの表明か
2023年1月に発売されたヘンリー王子の回顧録『SPARE(原題)』。王室やロイヤルファミリーに関する暴露や批判が盛りだくさんの内容は世界中で物議を醸した。王子とロイヤルファミリーの不和を決定づけることにもなったが、今年の秋にペーパーバック版が発売されることが明らかになった。 【写真】レアなヴィンテージ写真で振り返る、ありし日の英国ロイヤルファミリー
ハードカバーで発売された作品がペーパーバックでリリースされるときには、新たな章や前書きや後書きが付け加えられることが多い。ハードカバーを読んだ人にももう一度手に取ってもらうためである。しかし王子の回顧録はまったく何も加えられず、オリジナルバージョンのままペーパーバックになる。王室専門家たちは王子の姿勢を示していると指摘、一部の専門家は王子を批判している。
王室専門家で歴史家のテッサ・ダンロップ博士は新聞「ミラー」に「本を改めて売るなら、王子は読者に何か新しいものを提供する必要があった。新たな章を付け加えないという決断は王子がこれまでよりも衝動的ではないことを示しているが、王室との和解には程遠い。ペーパーバック版に何も加えないということは、王子の『もう振り返らない。先に進む』という言葉に沿っていると言える」。ペーパーバック版で王室に対して歩み寄るコメントを発表することもできたのに、それをしないということは和解の意思がないということだと示唆している。
一部のマスコミは新たな内容を加えないことを、王子にロイヤルファミリーをもう一度批判する気持ちがないものと捉え、王子がロイヤルファミリーと仲直りしたがっている証だと好意的に見ている。しかしダンロップ博士は「悲しいことにそれは間違った見方だ」と否定する。「新しい章は和解につながるものになり得た。ヘンリー王子からアクションをとり、オリジナル版とは異なる前書きを冒頭につけて事態の成り行きについて後悔していることを全面に出せたかもしれない。キャサリン皇太子妃とチャールズ国王へのお見舞いの気持ちも改めて示せただろう」。そのチャンスを逃したというのが博士の見方である。「彼が沈黙することを決めたのは、王室内で冷戦が続いていることを示している」。
ペーパーバック版はアメリカで10月22日に、イギリスではその2日後に発売される。ちなみに7月に王室は秋にチャールズ国王とカミラ王妃がオーストラリアとサモアを訪問することを発表している。日程はまだ発表されていないが10月21日から26日にかけてコモンウェルスのリーダーたちが集まるイギリス連邦首脳会議がサモアで行われるため、国王の訪問はこの時期になるのではないかと見られている。国王がコモンウェルスの国々を訪れるのは即位してからこれが初。その外遊にわざわざ本の発売を合わせたのでは? と疑う囁く声もちらほら出ている。