受け継いだ白い手袋の力 大阪桐蔭の勝ち越し打は14番の主将・藪井 交流試合
2020年甲子園高校野球交流試合は最終日の17日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場であり、第1試合は大阪桐蔭が東海大相模(神奈川)に4―2で勝利した。 【写真特集】大阪桐蔭と東海大相模、東西の強豪が激突 詰まりながらも、得意の内角球を左前に運んだ。八回に勝ち越しの2点適時打を放った大阪桐蔭の主将・藪井は「絶対に自分が決めるつもりだった」とガッツポーズ。2017年にキャプテンを務めた福井から、歴代主将に代々受け継がれる白色のバッティンググローブに刻まれた「主将力」の文字。バットで実践した。 八回の守備から途中出場。その裏1死二、三塁の好機で打席が回った。3球目に出たスクイズのサインはファウルに終わったが、「元々バントは得意じゃない」とすぐに切り替えた。外角攻めをファウルでしのぐと、根負けした東海大相模の2番手・笠川の9球目を仕留めた。 12、18年には甲子園春夏連覇を達成し、春夏計8回の全国制覇を誇る大阪桐蔭で控えながら主将を任された。藪井自身は「力が上の選手をどう率いていくか」と悩むことも多かったが、「最後は周りに人がいる」と西谷監督。信頼感が評価されている。 昨年チームは11年以来となる甲子園出場なしに終わった。3年生にとっては、最初で最後の甲子園でのプレーに「飢えていた」と藪井。毎年のように練習試合を重ねる、春夏計4回優勝の東海大相模との強豪対決を終盤の競り合いでモノにした。「野球の神様が、ひごろ試合に出てない藪井のところに(打順を)回してくれた。歴史に残るキャプテンになった」と西谷監督。大阪桐蔭では異例の2桁背番号「14」の主将が、チームに言い続けていた「粘りの野球」を大舞台で体現した。【藤田健志】