認知症になると預金を下ろせなくなるそうです。母の年金振込を私の口座に指定できませんか?
平均寿命の伸びとともに、より身近な問題となりつつあるのが「認知症」です。 認知症は判断力の低下を伴うため、財産保護の観点から銀行口座が凍結され預金の引き出しが難しくなる場合があります。 認知症に備えて生活費として重要な老齢年金の振込先を家族名義のものに変えることはできるのでしょうか、解説していきます。
認知症の状態によっては口座凍結が
日本は世界で最も平均寿命の長い長寿大国ですが、平均寿命が伸びるにしたがって認知症にかかる確率も上がっていき、2025年には高齢者の5人に1人が認知症にかかるともいわれています。 認知症は今後ますます身近な病気となっていきますが、認知症の症状には物忘れや判断力の低下といった日常生活に影響を及ぼすものが含まれます。 例えば、判断力の低下が本人の財産保護に支障が生じると金融機関が判断した場合、口座凍結が行われます。ひとたび口座凍結が行われるとたとえ家族であっても預金の引き出すことはできません。 金融機関が認知症を認識するケースとして、名義人が手続きなどで窓口を訪れた際に判断力の低下が確認された場合や家族など本人以外の方が連日限度額いっぱいの払い出しをしている場合などがあります。
年金振込先を本人以外にすることはできない
老齢年金はゆうちょ銀行の窓口で現金で受け取ることも可能ですが、簡単で受け取り忘れのない口座振込みを利用するのが一般的です。 そのため、口座凍結が行われると老後生活の柱である老齢年金を利用することができなくなり、生計を一にする家族に大きな金銭的負担が及んでしまいます。 認知症による口座凍結に備えて年金口座を家族名義のものに設定したくなりますが、年金受取口座は本人名義のものに限られています。
認知症対策に代理人カードは有効?
ケガや病気などで本人が預金を引き出せなくなった場合に備え「代理人カード」を作成することができます。 代理人カードは生計を一にする家族が持つことができ、預金の振込みや払出しといった基本的な操作を行うことができます。 代理人カードは一見認知症対策に利用できそうですが、定期預金の解約ができないなどの制限もあります。 しかし、代理人カードは、原則として口座名義人本人が認知症で判断力が低下した場合は利用することができず、口座凍結が行われた場合は代理人カードも利用できなくなるリスクもあります。