悪質ホスト防止法に込めた立民議員の思い「若者の未来奪わぬ」海外に売春イメージ拡散懸念
立憲民主党が風営法改正案(通称・悪質ホストクラブ被害防止法案)を衆院に提出した。悪質ホストクラブを巡っては10代を含めた若い女性が多額の売掛金(ツケ払い)を背負い、借金返済のため、国内外の性風俗店で働かされるなど社会問題化している。近年は観光目的で海外を訪れた一般の日本人女性が売春目的と疑われ、入国拒否される事例も相次ぐ。立民議員は被害女性や家族に寄り添いつつ、「日本人女性=売春」の負のイメージの拡散も危惧し、党派を超えて危機感を共有したい考えだ。 【写真】ホストクラブへの支払いに追われ風俗店で働いているという女性 ◆被害は深刻度を増している 「少なくない女性が海外売春に駆り出され、米国や韓国などで日本人女性が検挙される事例も相次いでいる。被害は深刻度を増し、地方に、海外に、拡大している。根本的な解決には被害者のマインドコントロールからの解放が重要だ。日本の子供や若者が性搾取で、未来が奪われないよう尽くす責務がある」 立民の塩村文夏参院議員は7日の参院本会議で悪質ホストクラブを巡る現状について、こう指摘した。 塩村氏は昨年11月、国会審議で悪質ホスト問題を取り上げた。娘がホストクラブに通い、借金を抱え、海外で売春しているという母親の思いを聞いたことがきっかけだという。塩村氏を皮切りに、立民議員らは悪質ホストクラブの被害対策を政府に訴えていく。 悪質ホストクラブを巡って、はまってしまった側に自己責任を求める向きは根強い。ただ、数百万円の借金を抱えるまで、社会経験の乏しさにつけ込む形で、SNSなどを利用して恋愛感情を錯覚させていく手口などがマニュアル化されている。背後に暴力団や犯罪グループの存在が指摘され、若い学生やフリーターが対応するには一定の難しさがある。 ◆「家族にとって娘の代わりはいない」 立民は今月7日、悪質ホストクラブ被害防止法案を衆院に提出した。客の支払い能力に照らして不相当に高額な債務を負担することにならないよう、ホストクラブ側に確認などの義務を課しており、是正指示に従わなかった場合は最悪、営業停止処分とする。 法案を提出した吉田晴美衆院議員は「多額の借金を経済力のない人に負わせる状況を止める。その人によって違うだろうから不当な金額がいくらかは明示していない。今まで『いくら借金を負わせてもいいだろう』と歯止めがなかった所にハードルを設ける所が法案の肝だ」と説明した。