錦織圭が世界55位を逆転で下し、約3年ぶりのマスターズ勝利!「必要な時にいい動きで攻撃的にプレーできた」<SMASH>
男子テニスツアーのマスターズ1000大会「ナショナルバンク・オープン」(8月6日~12日/カナダ・モントリオール/ハードコート)は現地6日にシングルス1回戦が行なわれ、度重なるケガからの完全復活を目指す元世界ランク4位の錦織圭(現576位)が登場。アレックス・ミケルセン(アメリカ/同55位)を3-6、7-5、6-4の逆転で下し、同大会3年ぶり5度目の初戦突破を果たした。 【動画】錦織圭がミケルセンを逆転で破ったナショナルバンクOP1回戦ハイライト パリ五輪で3種目に出場した34歳の錦織は、五輪終了後すぐさまカナダに移動。プロテクトランキング(公傷制度)でエントリーしたナショナルバンクOPには当初予選からの出場を予定していたが、五輪で勝ち上がった選手の欠場が続出し、繰り上がりで本戦入りを果たした。そして初戦では昨年シカゴのチャレンジャー(下部大会)で接戦の末に敗れていた19歳のミケルセンとの再戦を迎えた。 7月のニューポート(芝/ATP250)で2年連続の準優勝、先週のワシントン(ハード/ATP500)でベスト8と好調のミケルセンを相手に、錦織はミスを重ねながらも次第にリズムをつかみ、第2ゲームから3ゲームを連取して試合を優位に進める。しかし第5ゲームで2度目のブレークチャンスを逃すと流れは一変。錦織がエラーを連発し、第6、8ゲームでサービスダウンを喫して第1セットを失った。 第2セットは第5ゲームで先にリードを奪われた錦織。それでも数々の逆転劇を演じてきた34歳がここから底力を見せる。絶妙なロブを決めるなどしてデュースに持ち込んだ第6ゲームでは、10分を超える攻防の末に相手のダブルフォールトを誘って値千金のブレークバック。これで息を吹き返した錦織はコートを広角に使う攻撃を軸にキープを続けていく。 迎えた第12ゲーム、相手のミスとダブルフォールトで先行した錦織はミケルセンの鋭いショットにもしっかりと対応してチャンスをつかむ。3度凌がれるも4度目のセットポイントでミケルセンがドロップショットをネットに掛けてセットオールに。勝負のファイナルセットは互いにキープが続く緊迫の展開に。 そして勝利の女神は諦めずに戦い続けた錦織に微笑んだ。第10ゲームで相手のエラーに助けられる形でマッチポイントに到達。最後は錦織が強烈なフォアハンドのウイナーを叩き込み、2時間33分の大接戦に終止符を打った。 これが5月の全仏オープン1回戦に続く今季マッチ2勝目。四大大会に次ぐマスターズでの勝利は21年10月のインディアンウェルズ以来約2年10カ月ぶりだ。試合後のインタビューで「(マスターズでは)久しぶりの勝利かな」と呟いた錦織は手応えをつかんだ様子で、プレー内容をこう振り返った。 「第1、2セットはアップダウンが激しくてミスが多かった。一方で第3セットはかなりいいテニスができたと思う。ディフェンスも良く、必要な時にはいい動きをして攻撃的にプレーできた。本当にうまくいった」 2回戦では第8シードのステファノス・チチパス(ギリシャ/11位)と対戦する錦織。非常に厳しい相手だが、次戦も奮闘を期待したい。 文●中村光佑