ハリス氏、なぜ完敗?トランプ氏に大差つけられ初の女性大統領誕生ならず 支持者の前に姿見せず 6日演説
ジョー・バイデン大統領(81)の不出馬で7月下旬に急きょ、民主党候補となったカマラ・ハリス副大統領。米セレブが次々と支援を表明し、支持率では共和党候補ドナルド・トランプ前大統領を上回ることもあったが、米国史上初の女性大統領誕生とはならなかった。 “ガラスの天井”は、またも破れなかった。2016年のヒラリー・クリントン氏(77)に続く2度目の挑戦。立ちはだかったのは、またもトランプ氏だった。 初の女性大統領への鍵は、ジョージア、ノースカロライナ、ペンシルベニアなど激戦7州で勝利できるかだった。事前の調査では、ハリス、トランプ両氏の支持率が拮抗(きっこう)。首都ワシントンにあるハリス氏の母校ハワード大に集まった支持者は、開票の行方を見守った。 「ノースカロライナ州、トランプ氏」「ジョージア州、トランプ氏」。会場のスクリーンに速報が流れると、支持者からはため息が漏れた。激戦7州の中でも最も重要とされたペンシルベニアも、大票田のはずだった州最大の都市フィラデルフィアでも票が伸びずじまい。この日、ハリス氏も支持者の前で演説する見込みだったが、姿を見せることはなかった。陣営幹部は「今夜、副大統領の話は聞けません」と述べ、支持者は暗い表情で会場を後にした。 若者に影響力がある歌手テイラー・スウィフト(34)やビヨンセ(43)からロバート・デニーロ(81)ら名優までが、続々とハリス氏支持を表明。投票権を得るための登録者が急増。バイデン大統領からの世代交代と人工妊娠中絶などの権利擁護を訴えることで、支持拡大を狙った。 一方、トランプ氏は選挙戦終盤の集会では必ず「暮らしは4年前よりも良くなっただろうか」と問いかけた。バイデン政権下で続いたインフレや不法移民流入に対する市民の不安に訴えかける戦法を貫き、現状に不満を抱く有権者の心をつかんでいった。 ハリス氏はメディアのインタビューにほとんど応じなかったことが“弱腰”と評価された点もマイナスになった。物価高を招いたバイデン政権の副大統領だったことも批判の対象に。次第に悪態を連発するトランプ氏のペースにのまれ、演説では誹謗(ひぼう)中傷が増えるようになり、自身の実績やバイデン氏との違いは示せなかった。これまで民主党を支持してきた黒人男性層が今回、ハリス氏に投票しなかったとの分析もある。これでハリス氏の挑戦は終わった。6日(日本時間7日)、国民に向けて敗戦の演説をする予定だ。 ▽米大統領選 米国の正副大統領を決める4年ごとの選挙。形式上は間接選挙で、全50州と首都ワシントンに割り当てられた大統領選挙人計538人の過半数270人の獲得を競う。選挙人はどの大統領候補を支持するかを事前に表明しており、有権者は大統領を直接選ぶ感覚で投票する。各州で勝利した候補がその州の選挙人を独占する「勝者総取り」が原則で、全米の総得票数で勝っても落選する場合がある。