The Snutsが語るこれまでの歩み、ミレニアル世代のギターバンドとして抱くリアルな感情
ミレニアル世代のギターバンドとして思うこと、来日公演に向けて
―先ほどアルバムタイトルの説明をしてもらいましたが、言うまでもなく『Millennials』とはスナッツがミレニアル世代であることも指していますよね。最近は良くも悪くもZ世代の動向や考え方にスポットが当たることが多いですが、あなたは自分たちがミレニアル世代であることをどのように捉えているのでしょうか? ジャック:ミレニアル世代やZ世代は、困惑の時代に育ってこざるを得なかったような気がするんだ。テクノロジーが何なのかわかっていない状態から、それがすべての前面に立っている状態までを見てきたからね。僕が子供の頃は携帯電話を持っている人がほとんどいなくて、その携帯で写真を撮ることもできなくて、インターネットもあまり普及していなかったのを憶えている。でも僕たちは、そんなこれまでとはまったく違う時代を生きていかないといけなくなった。前の時代で通用したものが通用しないような……どの世代にも苦しい面があるのはわかっているけど、僕たち世代の苦しみは困惑から来ているものだと思うね。あまりにも多すぎる情報とどうやって付き合っていけばいいのかとか。だからミレニアル世代は今でも慣れていないというか、足元がおぼつかないんだ。それでいいとは思うけどね。 ―最近はラスト・ディナー・パーティ、イングリッシュ・ティーチャー、ピクチャー・パーラーなど、イギリスで新人バンドが脚光を浴びることが多くなってきました。イギリスに暮らすあなたの実感として、ギターバンドに対する風向きが変わってきたような感覚はありますか? ジャック:そうだね、オルタネイトギターミュージック全体にとって機会が増えてきている気がする。とてもワクワクするよ。ライブではボーイバンドでもガールバンドでもずっとうまくいっているというか、チケットもすごくよく売れているし、大きな会場でプレイするのもこっち(イギリス)ではずっと変わっていないんだ。ただ、ストリーミングサービスとかとは乖離していて、あまりサポートされていない気がする。ギターバンドはフィジカルな商品に頼っているところがあるからね。例えばイングリッシュ・ティーチャーとかラスト・ディナー・パーティみたいに最近成功しているバンドも、アルバムセールスの多くはヴァイナルやCDによるものなんだ。僕たちの1作目がナンバーワン、2作目が3位になったときも、大半がフィジカルの売上だった。ストリーミングサービスがもっとギターミュージックへのサポート体制を強化してくれたら、次の世代はすごく助かると思う。 ―業界全体として、もっとやれることがあるんじゃないかと。 ジャック:ギターミュージックがポップスやR&Bなんかと渡り合うためには、もっとやれることがあると思う。でも何よりも僕たちが曲を作り続けて、みんなに伝わるものを作っていくことが大事なんだ。そうすれば僕たちが期待しているような状態になるだろうね。 ―オリヴィア・ロドリゴやノア・カーン、ベンソン・ブーンのように、メインストリームのアーティストがロック的なサウンドを取り入れることが多くなったのはどのように感じていますか? ジャック:全体的にいいことだと思うよ! ただ、それがそのアーティストにレッテルを貼ることになったら良くないなと思う。僕たちもギターバンドとして成長していく中で、その辺りは難しさを感じてきたからね。「君たちはギターバンドなんだから、あれをすべきだ、これをすべきだ」みたいなことを言われ続けてきたんだ。みんなが受けてきた全部の影響を活かすことができれば一番理に適っていると思う。あまりレッテルを貼ったり箱に入れたりしないで、自由な音楽の流れを作っておくのがいいんじゃないかな。 ―では、音楽性、もしくはメンタリティの面で、スナッツが何かしらシェアしていると感じる同時代のアーティストを挙げるとすれば? ジャック:僕たちより出てくるのが早かったと思うけど、クリエイティヴ面とかで共感できて大好きなのはボンベイ・バイシクル・クラブ。日本でどのくらい知られているのかはわからないけど、すごくクールなバンドだよ。メンバーが色々やっているサイドプロジェクトも好きなんだ。初めて見たバンドのひとつで、とても気に入ってる。ギターがヘヴィなバンドが人気だった時代に、もっとポップでオルタナティヴなものもやっていたんだ。だからそうだね、ボンベイ・バイシクル・クラブが答えになるかな。 ―東京と大阪での来日公演が5月に決定しました。日本では初の単独公演となりますが、どんなライブを期待していいですか? ジャック:日本にまた行けることになってすごくワクワクしているんだ。前回のサマーソニックがとても楽しかったからね! 自分たちでもびっくりするくらい大成功のショウだったよ。大阪と東京でやったんだけど、会場が超満員で。オーディエンスもすごくエネルギッシュで、反応が超良かったんだ。そんな風になるとはまったく予想もしていなかったよ。それまで行ったこともなかった場所でそんな経験をすると、早くまた行きたくてウズウズするんだ。またファンと思い出を共有したいね。待ちきれないよ。 ―日本でのライブ、楽しみにしています。 ジャック:ありがとう! 僕たちも楽しみだよ! --- ザ・スナッツ 『Millennials』 直輸入盤:2024年3月8日リリース ザ・スナッツ来日公演 2024年5月30日(木)大阪・Yogibo META VALLEY 2024年5月31日(金)東京・KANDA SQUARE HALL
Yoshiharu Kobayashi