もはやアメリカのスポーツ観戦は庶民に手が届かない!?「インフレにもほどがある」野球に限らずゴルフ界でもチケット高騰の波【武川玲子コラム】
◇武川玲子コラム「米ゴルフツアー見聞録」 男子ゴルフで最も人気のある大会、米国選抜と欧州選抜が2年に一度、名誉とプライドを懸けて戦うチーム戦「ライダーカップ」は四大メジャーよりもゴルフファンが熱狂する大会として知られているのだが…。 来年9月にニューヨークで開催される同大会の観戦チケットの値段が発表され、練習日で255ドル(約3万8250円)、競技の3日間は750ドル(約11万2500円)という驚く金額となった。しかも現在は登録が開始されただけで購入は抽選だという。 これまでのゴルフトーナメントの観戦チケットを大きく上回る価格にゴルフファンがSNSで騒然となっている。「インフレーションにもほどがある!」「もうゴルフは生で観戦するスポーツではなくなる」などなど。 昨年のローマ大会のチケットは練習日が53ドル(約7950円)、競技が277ドル(4万1550円)だから3倍近い値上げ。また他の男子メジャーはマスターズ・トーナメント、全米オープン選手権の観戦チケットは140ドル(約2万1000円)から、ライダーカップと同じPGA・オブ・アメリカが主催する全米プロ選手権は148ドル(約2万2200円)からだからその差は歴然。 さらにこのライダーカップには「賞金」がない。出場選手が得るのは20万ドル(約3000万円)でそれを自身が選んだ団体へ寄付するというもの。賞金がなく”名誉”を懸けての戦いだからこそ、ライダーカップは盛り上がるといわれているのだが、「主催者は選手に賞金も払わずもうけすぎ。この値上がりがゴルフ界全体に広がるのでは…」と不安の声を上げるファンも。 PGA・オブ・アメリカは批判に対して「ライダーカップはMLBのワールドシリーズと同等の大会。市場価格に合わせた」と主張。ちなみに25日から始まるドジャース―ヤンキースの第1戦(ロサンゼルス)は、最安シートが828ドル(約12万4200円)で売り出されると90分で完売したという。もはや米国でのスポーツ観戦は庶民の手の届かないものとなってしまったのかもしれない。 (全米ゴルフ記者協会会員)
中日スポーツ