本郷和人『光る君へ』「藤壺は光る君のことをどう思っていた?」登場人物の心境が議論されるまでになったまひろの物語。その執筆にも使われた「文房四宝」とは
◆硯は財産として後世にも伝えられた さっそく答えを記しますと、正解は「硯」でした。 紙と筆は消耗品。墨もそれなりに長持ちしますが、使えばなくなる。 これに対して硯は格段に長持ちしますので、財産として後世にまで伝えられました。ですから、非常に価値が高いのですね。 なお、唐代にはまだ「文房四宝」という語は使われていません。 唐の滅亡後に中国南部を領土とする後唐(937年~975年)という王朝が立ちました。首都は現在の南京です。 この王朝は文化を重んじたので、唐代の文房具のあり方がここで整理され、中国を統一した宋王朝(960年~)に多大な影響を与えました。 つまり「文房四宝」は、宋において用いられるようになる言葉なのです。 でも、硯の最高峰とされた「端渓硯」が唐の時代から使われていたことが示すように、「硯」「墨」「紙」「筆」は唐の文人にも間違いなく重んじられていて、それが日本にも影響を与えていたのでした。
本郷和人
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