15年近く付き合ってきた彼氏が「好きな人ができた」と一方的に別れ…支えてきた彼女は慰謝料請求できる?
● 女性は共同購入した自動車の破棄を希望しているが…
――女性側はせめて共同で購入した自動車を破棄して欲しいと願っているとのことですが、名義は彼氏になっているとのことです。破棄が難しい場合でも、女性側は何らかの法的手段はとれるのでしょうか。 自動車の所有者名義が彼氏になっているのであれば、女性が勝手に自動車を処分することはできません。 ただし、自動車は女性と彼氏が共同購入したものであるとのことです。共同で使用するために自動車を共同購入していたのであれば実質的には共有物にあたると思われます。 この場合、女性は彼氏に対し、民法上、彼氏の持分を超える使用の対価(使用料)を請求することができます。それぞれの持分ですが、民法上は別段の合意がない限り、各共有者の持分は等しいものと推定されます。 おそらく、このケースでは共有持分について明確に定めていなかったと思われますので、共有持分は2分の1となる可能性が高いです。ですので、女性はカーリース料金の相場等を参考にした使用料の2分の1を彼氏に請求する余地があります。 ただし、もし自動車の維持費を彼氏だけが負担している状況なのであれば、女性は彼氏から持分に応じた維持費の請求をされる可能性があります。 なお、共有物の処分については民法上、共有者全員の同意が必要です。そのため、自動車が共有物であり、仮に共同名義で登録されていたとしても彼氏が同意しない限り自動車を処分することはできません。 いずれにしても彼氏が女性の求めに応じない場合は、女性は裁判で自動車の共有持分の確認、共同名義での登録の請求、使用料の請求等をしていく必要があります。しかし、共有関係にあることの立証はそう簡単ではないと思われることと、時間的費用的負担を考えると、裁判までするのはあまりおすすめできません。 【取材協力弁護士】 鈴木 菜々子(すずき・ななこ)弁護士 弁護士登録以降、離婚・相続を主とした家事事件に注力。千葉市の弁護士法人とびら法律事務所は、累計5000件以上の相談実績を誇る。特に離婚事件については、法的知識だけではないノウハウの蓄積に基づき幅広い案件に対応している。迅速な案件解決に力を入れている。 事務所名 :弁護士法人とびら法律事務所 URL:https://www.tobira-rikon.com