<中日>”監督・谷繁”が”選手・谷繁”を外して初勝利!
複雑な監督初勝利
中日6-0広島(30日・ナゴヤドーム) なんとも複雑な監督初勝利だったに違いない。 30日にナゴヤドームで行われた広島戦で、記念すべきウイニングボールをヒーローとなった松井雅人から手渡された谷繁元信兼任監督は「勝ったことは単純に嬉しいね。(選手時代だった)今までとは違う。でも喜びを爆発させるというものではなく、しみじみとした勝利というか……」と苦笑いを浮かべた。 この日、スタメンにキャッチャー谷繁の名前を書かなかった。 「いろいろと理由があるんだけど……今日の練習前に決めた」 開幕戦で1本ヒットは打ったが3三振するなど打撃の調子は悪い。オープン戦では、最終戦まで24打席もヒットが出なかった。兼任監督の仕事は、想像以上で、44歳のキャッチャー谷繁は、開幕に向けてのコンディションを作るのに四苦八苦していた。連敗を止めるためには、8番・谷繁には期待できない。 しかも、この日の先発予定は、カブレラ。クイックがあまりうまくなく、外国人特有の大きいモーションのため、谷繁兼任監督の肩では、広島に機動力も使われやすい。そのあたりを加味した上で、監督・谷繁は、キャッチャー・谷繁を容赦なく斬った。 谷繁兼任監督の采配はズバリと当たった。 まず2回、上武大からドラフト7位の下位で入ったきたプロ5年目の松井雅が、守備で見せる。無死一、三塁の場面で、広島の石原は、セーフティースクイズを仕掛けてきたが、失敗、打球はポーンとバックネット方向にあがった。松井雅は、そのファウルフライを出足鋭く追いかけてミットに収めた。おそらく谷繁兼任監督の今の動きならば、捕球はできなかっただろう。 そして、バットでも谷繁兼任監督の期待に答える。3回の先制点も、松井雅が8球も粘って一塁へ歩いた四球から始まった。7回には、一死一、二塁のチャンスに初球をたたいて、右中間を真っ二つ。この日、2本目となる二塁打で、貴重な追加点をスコアに刻んだ。松井雅は、最後までマスクをかぶり、カブレラー田島―福谷の完封リレーを見事にリードした。 今季初勝利のお立ち台には、カブレラと松井雅のバッテリーが呼ばれた。松井雅は「何も考えず気持ちだけうった。チームが連敗スタートだったとにかく1勝がほしかった。キャッチャーなので失点をひとつでも減らしてチームの勝利に貢献したい。監督を楽にもさせたい」と落ち着いた口調で語った。