職場にいる「思考が深い人」と「思考が浅い人」の決定的な違い
近年、「頭の回転の速さの象徴」としてお笑い芸人が多くの場面で活躍をしている。そんなあらゆるジャンルで活躍をし続けるお笑い芸人たちをこれまで30年間指導し、NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』でも話題になった伝説のお笑い講師・本多正識氏による『1秒で答えをつくる力』が人気を博している。ナインティナインや中川家、キングコング、かまいたちなど今をときめく芸人たちをこれまで1万人以上指導してきた本多氏の仕事に対する考え方をオリジナル記事としてお届けする。 ● 「思考が深い人」と「思考が浅い人」の違い 仕事をしていると「思考が深い人」もいれば、「思考が浅い人」もいます。前者はどんな職場でも重宝されますが、後者はその逆でしょう。 そんな両者のあいだにはどんな違いがあるのでしょうか。一緒に見ていきましょう。 まず、お笑いの世界に限っていえば、「思考が浅い人」は生き残っていくことは非常にむずかしいです。その理由は明確で、「考えること」ができないと、お客さんがなにで笑うのか、どうして笑ったのかをいつまで経っても知ることができないからです。 そのため、私はNSC(お笑い養成所)の授業でも一番最初に教えるのは「考え続ける人になりなさい」ということです。そうしなければ、芸でお金をもらうなんてことは無理なのです。 この「考える」ことができない最大の弊害は、成功にしても、失敗にしても「なぜ、そうなったのか」の分析ができないことだと私は思います。 どんな芸人でも一度くらいは大爆笑を取れることがあります。ただ、どうして大爆笑を取れたのかを自分なりに考えて、芸に再現性を持たせていくことが芸人の仕事です。そうしなければ、常に行き当たりばったりで芸を披露することになり、「ウケたときはよかったね」、「スベったときは運がなかったね」で終わってしまいます。皆さんもお気づきのとおり、これでは成長できないでしょう。 私はよく、養成所の授業で、「どうしてこのネタを作ったの?」と質問をすることがあります。この質問の意図は考えることを習慣化してほしいからです。 この質問をしたときに、考えていない芸人や考えが浅い芸人は「いや、なんかおもしろいと思ったんで」としか返してきません。対して、しっかりと考えている芸人は「こういう狙いがあって、そのためにこの形のネタにしました」のようなことを返してきます。 成長速度に大きな差が出るのは、もはや言うまでもないでしょう。