日本初の女性、女子高生、ダークヒーロー… 三者三様の「弁護士」が 躍動する4月法曹ドラマを楽しむための基礎知識
弁護士ドラマではVS検察の構図で描かれることが多い
事件が起これば警察官が捜査をし、犯人を捕まえる。その後、取り調べを行う。弁護士が登場。弁護士は被疑者や被告人の減刑や無罪に尽力するが、その相手は検察だ。構図としては「公益の代表者VS被疑者・被告人の代理人」となる。 「例えば弁護の依頼者が凶悪犯だった場合、視聴者の方は『なんであんな悪人の弁護をするんだ』と思うかもしれません。弁護士をつけることは憲法上の権利です。法曹三者の関係性を押さえておくと、弁護士は依頼者の権利を守るために検察と対峙する立場とわかっています。ですから、その弁護ぶりにスムースに入り込めるはずです」と辻本弁護士はアドバイスする。 例えば、3本のドラマのうち「アンチヒーロー」は、”100%有罪”でも無罪を勝ち取るというきわどい設定の弁護士だ。だからこそ、弁護士と検察の対立構図を全体として理解していれば、同ドラマの主人公の弁護ぶり、検察側との駆け引きなどにより集中でき、型破りな弁護士像を存分に堪能できる。
弁護士の私生活にも影響する独自の規程がある
リーガルドラマでは当然、弁護士の私生活シーンも登場する。この点について辻本弁護士は、「実は弁護士には厳しいルールがあるんです」と打ち明ける。そのルールとは「弁護士職務基本規程」だ。 日本弁護士連合会(日弁連)のウェブサイトによると、弁護士は「その使命である人権擁護と社会正義を実現するためには、いかなる権力にも屈することなく、自由独立でなければなりません。そのため、日弁連には、完全な自治権が認められています」として、その指導監督を日弁連と弁護士会のみが行っており、いずれも弁護士は強制加入となっている。それを実践するための”ルールブック”が同規程になる。 同規程は第一章の基本倫理に始まり、第十三章まである。例えば第一章には「弁護士は名誉を重んじ、信用を維持するとともに、廉潔を保持し、常に品位を高めるように努める」(第六条)、「弁護士はその使命にふさわしい公益活動に参加し、実践するよう努める」(第八条)と記載されている。 第二章の一般規律には「詐欺的取引、暴力その他違法若しくは不正な行為を助長し、又はこれらの行為を利用してはならない」(第十四条)とある。この辺りは、「アンチヒーロー」で主人公の弁護士がどこまで攻めているのかの指標として念頭に入れておくと、その破天荒ぶり、ダークぶりをよりリアルに感じられるかもしれない。