アベノミクスで本当に景気は良くなったの?/木暮太一のやさしいニュース解説
「今年は、奮発してクリスマスプレゼントを買いました」 クリスマスイブのニュース番組で、こんなコメントがたくさん流れていました。 同日、日経平均株価も6年ぶりに16000円台をつけ、これぞ景気回復の証拠!という声も聞こえてきました。
景気回復の実感が持てないワケ
―――「うーーーん、でもあんまり実感ないんだよなぁ」 そうなんです。多くの国民は景気回復の実感を持っておらず、アベノミクスの恩恵を受けていないと感じているのではないでしょうか。メディアでは景気回復の「証拠」が次々と出てきますが、イマイチ実感が持てません。「自分だけ不景気? うちの会社だけ不景気?」と感じてしまいます。 しかし、国全体で見ると、「自分だけ」ではないことがわかります。 「ボーナスが増えた!」といっても、先月にみずほ総合研究所が行った調査では「前年度比0.9%増加」程度です。仮に100万円もらっている人がいても、9000円アップ程度です。あまり大したことはありませんね。 さらに経済統計データを見ても同じことが言えます。 7~9月の経済成長率を見ると、4~6月と比べて+1.1%(年率換算)でした。年率換算で考えると4~6月と比べて1.1%のペースで経済が成長したということです。ただ、2013年前半(1~3月)は同じく4.3%でしたから、成長率が半分以下になっているということです。 ―――「今年前半より景気が悪くなったになったってこと?」 いえ、そうではありません。「成長率が半分以下になった」というのは、「景気は徐々によくなっていますが、そのスピードが遅くなった」ということです。 ―――「なんだ、じゃあ別にいいや」
「公共投資」で補う構図
ただ、「成長」の中身を見ると、楽観視できないことがわかります。 「個人消費」「設備投資」「輸出」が頭打ちになった一方、「公共投資」でそれを補っているからです。「公共投資で補っている」ということはつまり、「公共投資を増やして景気を下支えしないと大変」ということです。 マクロ経済学では、「日本の“商品”を買う人」を4つに分類しています。 1.国民(家計) 2.企業 3.政府 4.外国 です。 国民は、生活に必要なもの、ほしいものを買います。国民がどんどん買い物をし、これが増えれば景気が良くなります。 企業は、ビジネスに必要な設備投資を行います。工場を建てたり、新しい生産設備を導入したりするわけです。これは一般の商品ではありませんが、お金を払って買うという意味では同じ商品です。「BtoBの商品」にあたりますね。 そして3番目は政府です。政府は医療・介護にお金を出したり、公共事業で道路・橋・公園を造ったりします。 ―――「政府が道路つくると景気が良くなるの?」 「道路を造ると」というよりは、「道路工事業者に発注をすると」です。業者が新しく仕事を請け負うので、業績が良くなり、従業員のボーナスも増えます。だから政府がお金を使うと景気が良くなるんですね。 そして最後は「外国」です。これは「輸出」を意味します。外国人が日本の商品を買ってくれるという意味ですね。 つまり、日本の商品を買うのは、「国民」「企業」「政府」「外国」の4人なのです。 ―――「で、何の話だっけ?」