今年の紅白歌合戦の「テーマ」にはメッセージが隠されていた…視聴率低下に悩むNHKの打開策
毎年大晦日に行われる「NHK紅白歌合戦」。今年はその75回を迎える。 前編『紅白歌合戦に「90年代」の曲が増えている“納得の理由”…紅白出場者の基準に変化が起きていた』では、近年音楽業界で起きている特徴的な現象を、“徒然研究室(仮称)” (以下、徒然研究室)氏に解説してもらった。 【写真】今年の紅白に出てほしかったミュージシャン」ランキング! 氏はメディアプラットフォーム「note」で、紅白歌合戦をはじめとする音楽業界の動向を、データ分析を用いて考察している。 (以下、「」内は徒然研究室のコメント)
人口動態から見る音楽産業の難問
最近、「80年-90年代」のヒットソングが再燃し、流行している。これには、親世代と子世代の伝承、SNS上でインフルエンサーたちにカバーされ「バズる」ことが背景として考えられる。 こうしたツールの変化だけでなく、少子化の影響も音楽産業にとって重要な視点になりそう。音楽は、若者たちのポップカルチャーとして発展してきた側面があるからだ。 「ご存知の通り日本は著しい水準で少子化が進んでいる国です。この人口動態上の潮流は、国内産業、特に従来、中高生や大学生、新社会人といった“若者”を主要なリスナーとして想定してきたポピュラー音楽の産業にとっては、悩ましい環境かもしれません。 いわゆる人口ピラミッドのグラフ上で日本の“若者”の人口ボリュームを可視化してみると、その構成比率の少なさと、今後も減り続ける未来がよくわかります。少子化という面では他の先進国も同様の状況にありますが、例えば移民などで人口自体は大幅に増えているアメリカと比べると、市場ボリュームの違いが際立ちます。また近年の音楽ストリーミング市場において非常に大きな存在となってきているインドネシアの人口ピラミッドと比べてみても、その差異は明らかです。 こうした環境では、仮に同じクオリティで高い品質のプロダクトやサービスと作り続けていったとしても、若者だけを顧客にしていると、顧客の分母そのものが減っていくことで、難しい局面が増えてくることがあるかもしれません。 とりわけポピュラー音楽産業の場合、新曲リリースの際にも、音楽を聴く手段が『定額制』のストリーミング中心になっていく状況がある中で、CDの時代とはまた違った計画や数字の計算をする必要があるのかもしれません」