【更年期】50代から増える「体のかゆみ」なんとかしたい!
仕事や目の前のことに集中できず、ストレスフルな体のかゆみ。一時的にかいてのりきっても、また繰り返したりかき続けてしまい悪化する場合も。皮膚科医の慶田朋子先生が、更年期世代になってから増えた「かゆみ」についてその原因を詳しく解説。 アラフィー女性を悩ます「更年期の不調」
更年期世代になって「かゆみ」が増えていませんか?
特に化粧品やシャンプーを変えたわけではないのに、頭から脚まで、全身のあちこちでチリチリ、ムズムズ……。人にはいいづらい部分もあったり、なんとかならないの⁉
[頭皮] 毎日きちんと洗っているのに、かきむしりたくなるほどのかゆみ。アラフィーになって頭皮のバリアや頭皮フローラが変化してくることがしつこいかゆみの原因に。 [耳の中] いったん治ってもまた繰り返し長期にわたって悩む人も多い耳の中のかゆみ。かゆみスパイラルから抜け出せないのは、意外な“清潔習慣”だった⁉ [デリケートゾーン] ナプキンやおりものシートなどで常に蒸れたりかぶれやすい部分ではあるけれど、女性ホルモンの低下でより刺激に弱くなり、かゆみやかぶれが頻繁に起きやすくなる。 [おしりの穴] 人前でかくこともできず、受診もハードルが高い部分だけに人知れず悩む人も多いおしりの穴のかゆみ。現代人の清潔志向が原因のひとつともいわれているけれど……。 [手] 水を使う機会が多い家事にはつきものの手のかゆみ。さらに石鹸での手洗いやアルコール消毒など近年ならではの要因も加わりかゆみがひどくなるケースも。 [すね・腰まわり] 粉を吹いてしまうほどカサカサになりがちなすね&腰。爪あとが残るほど強くかきむしってしまったり、洗いすぎやふきすぎでよけいに乾燥させてしまうことも。
しつこいかゆみの原因は女性ホルモンの減少だった
体質や肌質が変わってしまったのか、と思うような体のあちこちのかゆみ。実はそのとおりで、まさしくアラフィーならではの変化からくるものだそう。 「『更年期は女性ホルモンの魔法が切れる』といういい方をよくするのですが、女性ホルモンのエストロゲンは生理的な機能のみならず、全身の皮膚に多大な影響を及ぼします。エストロゲンには表皮の細胞の老化抑制、紫外線など酸化ストレスからの防御、コラーゲンやヒアルロン酸を増やすなどの働きがあり、閉経前後でエストロゲンの分泌が激減すると、これらの働きが軒並みダウン。皮脂や細胞間脂質量も減って皮膚バリアが弱くなるので、皮膚の保水力が落ちて乾燥し、かゆくなってしまうんですね。顔や体はもちろん、頭皮も、デリケートゾーンなどの粘膜もすべて皮膚ですから、いわば全身でこうした現象が起きやすくなっているのです。また、加齢で肌や粘膜に住む細菌叢も変わってくるため、頭皮やデリケートゾーンなどの臭(にお)いも変わってきます。 こうした年齢による変化を無視して、若いころと同じケアを続けていたり、市販薬で一時的にかゆみをやりすごしたり、臭いを気にして過剰に洗ったりしていると、かゆみは繰り返し、それどころかさらに悪化する可能性も。年齢に見合った適切なケアをすることが第一ですが、様子見しすぎず早めに皮膚科を受診することも大切ですよ」