「理性やバランス保ち争い回避を」防衛に矛盾抱える日本は「非常に危険な状態」 日本で育ったロシア人タレントの小原ブラスさん【被爆78年の悲願】
あってはならないことだが、ウクライナの戦場を見て各国は使える武器、いらない武器を選別している。日本ではそういう報道もほとんどない。このままでは各国がいらないとした武器を日本は買わされるのではないか。増やしている防衛費が本当に日本の防衛のためになるのか、不安だ。政治に対する国民の「監視の目」がゆるい。 ▽核兵器は絶対に使わず、均衡を保ちながら減らすのが理想 5月の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)で各国が足並みをそろえたのはすごく良かった。ただ、核兵器を容認したし、今後の戦争についてどうするのかを話し合った。原爆で亡くなった方たちがもしもそれを見ていたらどんな気持ちだったのか。広島ですべきではなかった。 子どもの頃、広島や長崎に何度も行った。核兵器は絶対に使ったらあかん、絶対的な悪だという考えをずっと持っている。全部なくなったらいい。 ただ、実際は核兵器が抑止力とされていて、日本も米国の「核の傘」に守られている。核兵器がなかったらなかったで、隣国からの侵攻におびえ、先制攻撃に踏み切る形で、もっと世界の至る所で戦争が起きているとも思う。それでも核兵器は絶対に使わず、均衡を保ちながら減らすのが理想だ。
メディアを通じてウクライナ侵攻を見ることで、双方の立場の人が、怒りや憎しみを抱く。僕もそうだった。でもそれは自分で体験したものではない。プロパガンダが含まれているかもしれない。恨みが利用されて戦争が起きることもあるだろう。交流サイト(SNS)が全盛の時代だからこそ、理性を保っておきたい。それが平和のためになるのかなと思います。 × × こばら・ぶらす 1992年ロシア・ハバロフスク生まれ。5歳の時に母親と来日し、兵庫県姫路市で育つ。