群生する姿はまるでピンクの金平糖? 「街中自然観察シリーズ」 vol.03 ヒメツルソバ
一見、コンクリートジャングルとも思える大都会でも、よく探すとあちこちでいろんな〝自然〟が息づいています。街中で出会える小さな自然を観察してみませんか? 今回は、冬場でも街中のいろんなところで見られるヒメツルソバを紹介します。 【写真】小花が密集したヒメツルソバの美しい姿を見る(全6枚)
ヒマラヤから明治時代にやってきた
ヒメツルソバは、タデ科イヌタデ属の多年草植物です。原産はヒマラヤ。明治時代に観賞用として日本に移入されたのですが、非常に繁殖力が強く、たちまち庭から逃げ出して、いたるところに生えるようになりました。道端の舗装の割れ目や階段のすみっこ、民家の外壁や河川敷の法面など、都会でもいろんなところで茂っています。 元々、4月~11月頃が花期とされていたのですが、温暖化のせいか、近年は真冬でも咲いているのをみかけます。さすがヒマラヤ生まれ!?
秋には紅葉する姿も見られる
名前を漢字で書くと「姫蔓蕎麦」。ソバに似ていて、小さいツル植物というネーミングです。 園芸名は「ポリゴナム」、英名は「Victory carpet」で、園芸家の間では、地面を覆うグランドカバーとしてうよく利用されています。 花は、まるで金平糖のような可愛らしい形をしています。上品なピンク色ですが、白っぽい花も混じっていて華やかです。咲いてすぐはピンク色で、徐々に白に変化していくようです。 葉っぱはタデ科らしい特徴をそなえていて、斑入りのものもあります。秋には鮮やかな赤色に紅葉するのも美しく、フォトジェニック。
冬にはスズメたちがついばむ姿も
花壇から逃げ出して勝手に都会で増えている外来種ではありますが、その生命力の強さを逆手に取って、雑草対策としてグランドカバーに導入することもあるのだとか。毒を以て毒を制す? 地面を這っているだけでさほどじゃまにもならず、毒やトゲがあるわけでもない。他種への影響が懸念されてはいますが、今のところ、在来種との交雑など、顕著な問題は発生していないようです。 冬の寒い時期には、ほかの餌が少ないせいなのか、それとも元から好物なのかはわかりませんが、スズメがヒメツルソバの花を食べている姿を時折見かけます。都会の片隅に息づく生き物たちの姿には、ほっこりなごみますね。
根岸真理