長い下積み、適応障害…レコ大新人賞歌手のどん底からの這い上がり方「自分の歌で自分を勇気づける」
新アルバム『人となる。』は新たな形で制作した1枚
シンガー・ソングライターのNOBUが20日に新アルバム『人となる。』をリリースした。結婚、子どもの誕生、宮崎との2拠点生活のスタートなど、環境が大きく変わったことで、楽曲にも徐々に変化が現れてきたという。今作の制作秘話や届けたい思いを語ってもらった。(取材・文=中村彰洋) 【写真】出会った瞬間から結婚を決意…NOBUと妻の“2ショット” ――『人となる。』というアルバム名に込めた思いをお聞かせください。 「結婚して父親になって、どういう思いをアルバムに込めたいかと考えた時、人として大事なことを伝えたいと思いました。『人となる』という曲もありますが、『。』をつけることで、日本人らしく締めたいなという思いがあります」 ――楽曲作りにあまり時間をかけないとお聞きしましたが、今回のアルバム制作にはどれぐらいの期間を費やしましたか。 「3か月ぐらいです。今回は今までとは違う制作の仕方をしました。18歳の頃からNOBUとしてのオリジナル曲を貯めていて、今では4、500曲ほどストックがあります。今までのアルバムは、その中から集めて作る形を取っていました。でも今回は、アルバム制作のために、全てを新曲として作ったので、すごくまとまったアルバムになったと思います」 ――印象深い楽曲などはございますか。 「『Pp』と『母となる』ですね。『Pp』はプロポーズの略なんです。去年の11月、嫁さんにどうやってプロポーズしようかなと考えていた時、歌にして届けることが1番僕らしいと考えました。曲を聞いてもらう時に、タイトルが『プロポーズ』だとバレちゃうので、『Pp』にしました。単刀直入に短い言葉でプロポーズしたかったので、曲自体も2分弱になっています。 その次の曲が『母となる』です。これも嫁さんが妊娠している時に贈った歌になっています。夫としてやれることが限られている中で、出産を頑張れるような歌をプレゼントしたいと思って、『あなたはもうすぐ母となるんだよ』という気持ちを込めて作りました」 ――新たなレーベルからのリスタートの1枚となりますが、作り終わっての心境をお聞かせください。 「アルバムを1から作るということが今までなかったので、締め切りに追われながらも完成できたという達成感はありました。家族や友人に聞いてもらったら、『父親になったことで、覚悟を持っていることが伝わってくる』『音楽性が進化しているね』などと言ってもらえました。良い時も悪い時もしっかりと言ってくれる人たちからの言葉だったので、うれしかったですね」 ――今回、全曲を新しく作ろうと思われたのはなぜでしょうか。 「過去のストックを聞き返した時、今の自分と照らし合わせて、しっくりくるものがあまりなかったんです」 ――この数年で大きくNOBUさんの環境が変わったということですね。 「そうですね。言われてみたらそうかもしれないです。本当に今の自分を表現しています」 ――レコーディングもこれまでとは異なる形で行われたとお聞きしました。 「嫁さんも宮崎出身で、里帰り出産しようとなりました。以前に僕が住んでいた家が空いていたので、2人でそこで生まれるまで暮らそうとなったんです。レコーディングもマイクとパソコン、インターフェースだけをその家に持っていって、実は全曲を押し入れの中でレコーディングしたんです(笑)。赤ちゃんが生まれてからも、そこでレコーディングを続けていて、抱っこしながらレコーディングした曲もあるんです。だから、赤ちゃんの泣き声が入っている歌もあると思います。そういった環境でも曲って作れるんだよということも伝えられたらいいですね」