<甲子園交流試合・2020センバツ32校>履正社10-1星稜 履正社、圧倒の攻撃力 昨夏覇者、打線に厚み
◇第4日(15日・阪神甲子園球場) 昨夏甲子園決勝と同じ顔合わせとなった一戦は、履正社が序盤の集中打で再び星稜を降した。履正社は一回に2点を先取し、二回2死満塁から小深田、関本の連続適時打などで一挙6点を加えた。先発の岩崎は制球良く1失点完投。星稜は三回に中田の犠飛で1点を返したが、三つの盗塁失敗もあって攻撃の流れをつかめなかった。 【真夏の熱闘】交流試合の写真特集はこちら <履正社10-1星稜> 一回無死一塁で左打席に立った履正社の中田の背番号は「16」。一塁側ベンチの岡田監督を見たが、「打っていけ」との指示。送りバントを多用する履正社はもう過去の話だった。「圧倒的に勝つ」ことを掲げる強力打線の攻撃が始まった。 「浮いた球を積極的に打っていこう」と高めのチェンジアップを呼び込んで強振。打球は三塁線を鋭く抜け、スタートを切っていた一塁走者は敵失で生還し、自身も三塁を陥れた(記録は二塁打と左翼手の失策)。試合開始3分で先制。さらにこの回もう1点を加え、先手必勝の勝ちパターンに持ち込んだ。 昨夏の甲子園も強打を武器に序盤で主導権を握る戦いぶりで初優勝したが、今年はさらに強力だ。岡田監督は「今年は選手層が厚い。相手投手に合わせて2桁背番号もどんどん使う」と違いを説明する。昨夏は野手を固定したが、この日は打撃好調の中田を自信を持って2番に起用できた。 昨秋は守備固め要員だった中田は自粛期間中も自宅で毎日、ティー打撃を続けてきた。主将の関本は「それぞれがうまくなりたいと努力してきた」と強調する。2桁背番号の成長が強力打線の厚みを支えた。 今夏、選手たちは「圧倒的に勝つ」と口にしてきた。10日の大阪独自大会準決勝ではライバルの大阪桐蔭に9―3で快勝。甲子園でも星稜に地力の差を見せつけた。中田が「去年の打線を超えたと思う」と誇らしげに言うほど、昨夏の覇者の存在感は圧倒的だった。【安田光高】 ◇星稜、悔しい62球 雪辱ならず、進化誓う 荻原吟哉(ぎんや)投手(星稜・3年) 悔しそうに顔をゆがめた。2点ビハインドの二回2死二塁、フルカウントから星稜の先発・荻原が投じた6球目。履正社の1番・池田に対し、決め球の膝元に切れ込むスライダーを見逃された。「ボール球になかなか手を出してくれない」。四球。続く中田も2球で追い込みながら、最後は同じ球を見極められて2死満塁。根負けしたように制球が甘くなると、3番・小深田から死球を挟んで4連打を浴び、計8失点でこの回限りで降板した。 「甘い直球は打たれる」。強打の履正社を前半は変化球でかわし、相手の目が慣れた後半は直球で攻める計画だった。追い込むまでは予定通り。だが、その後が想定外だった。「履正社の各打者は振る力が強く、見極めもしっかりしていた」とうなだれた。 履正社に敗れて準優勝だった昨夏の甲子園は「背番号11」を背負って2試合に先発。1学年上の奥川(ヤクルト)からエースナンバーを引き継いだ昨秋以降は得意のスライダーを生かそうと、地道な筋力トレーニングで直球の球威を磨いてきたが、成果を披露する前に打ち込まれ、「奥川さんの分まで勝ちたかった。悔しい」と絞り出した。 「自分の力不足」を痛感した62球。「どんな相手でも勝てる投手になりたい、と強く思った」。因縁の相手との再戦は、自分の目標を改めて示してくれた。【石川裕士】 ……………………………………………………………………………………………………… △午前10時3分開始 履正社(大阪) 260000101=10 001000000=1 星稜(石川)