「『ちひろさん』の谷口役はいちばん 俺がやらなそうな役が来たなと」 若葉竜也が語る作品作りのこだわり
●出演CMに対しても、強いこだわりを持つ
――そんななか、「Amazonプライム」のCM「いちばんの特典」篇に出演されました。 これまで出ていたCMと違って、ものすごく反響が大きかったですよ。CMもある程度は厳選するんですが、劇中劇ではないですけれど、しっかり物語があるものにこだわってやっていますね。何か良さそうというか、やっぱり言葉を使わないで、視聴者が見たときに、「どういうことを訴えかけているか?」というコンセプトが面白いと思ったんですよ。 『東京喰種トーキョーグール』も撮っている萩原健太郎監督というのも面白かったし、あと自分「Amazonプライム」のヘビーユーザーなんです(笑)。 ――続いて、佐藤浩市さん演じる父、池松壮亮演じる兄、松岡茉優演じる妹を持つ雄二役を演じられた『愛にイナズマ』。本作を観たとき、『台風家族』の空気感を思い出したのですが、現場の雰囲気などは似ていたのでしょうか? 『愛にイナズマ』は『台風家族』より、もっとライブな現場でしたね。『台風家族』の市井昌秀監督は、元々お笑いをやられた方(元「髭男爵」)なので、割と自由にやっているように見えて、しっかり緻密な計算されているんです。 ちゃんと振り落ちも考えて戦っていく監督だったんですが、『愛にイナズマ』に関しては、誰がどんなことするかっていうのを知らないので、石井裕也監督も含めて、みんなハラハラしながら、本番を迎えるっていう状況でした(笑)。あれは本当に相乗効果というか、大乱闘って感じでしたが、精神的には面白かったです。
●ライブ感溢れる『愛にイナズマ』現場
――具体的には、どんな現場だったんですか? クランクイン初日に、石井監督が「みんな何するか分からない」と言っていて、「今から、そんなヤバい人たちと撮影するんだ」と思いましたけど、みんな駆け出しの若手とは違うし、自分だけ目立てばいいという、浅はかな人もいないんですよ。テンションを上げつつ、しっかり全体の空気を見ながら、ちゃんと打てるとこを打っていく。その能力がとてつもなく高い人たちの集まりだったので、ちゃんと自分のやるべきことと、目立たなきゃいけないときを分析しながらやっていくんです。 みんなの芝居が本番で変わったりするので、石井監督はとりあえず本番をかけるんですが、だからこそ、ああいう形にまとまったんだと思います。あれを割と稚拙な人たちでやったら、崩壊していたと思います(笑)。 ~次回は主演最新作『ペナルティループ』についても語っていただきます~ 若葉竜也(わかば・りゅうや) 1989年6月10日生まれ。東京都出身。作品によって違った表情を見せる幅広い演技力で、数多くの作品に出演。幼少から俳優として活動し、『葛城事件』(16年)では、第8回 TAMA映画賞・最優秀新進男優賞を受賞。20年のNHK朝ドラ「おちょやん」に出演するほか、主演作『街の上で』(21年)、『窓辺にて』(23年)、『ちひろさん』(23年)などの今泉力哉監督作に多く出演。本作が主演2作目となる。
くれい 響