VAIO独立10周年、社長に聞く「脱ソニー」の現在地。最新CPUを採用しない理由を聞く
2014年7月にソニーから独立して10年。PC専業メーカーの「VAIO」は、ソニー時代とは大きな変貌を遂げている。 【全画像をみる】VAIO独立10周年、社長に聞く「脱ソニー」の現在地。最新CPUを採用しない理由を聞く VAIOのノートPCは今、法人市場で出荷台数を大きく伸ばしている。2023年度の法人向けモデルの出荷実績は、2年前の2021年度比で201%にもなる。 売上高では、2024年5月期が421億2800万円。法人向けモデルが牽引し、2年前の2022年5月期の224億2900万円に比べ、2倍近くになっている(いずれも官報より)。 また、10月31日には最新ノートPC「VAIO Pro PK-R」(個人向けモデル名は「VAIO SX14-R」)が発表された。なぜ今、法人市場でVAIOが勢いを増しているのか。2021年6月から同社を率いる、VAIOの山野正樹社長に聞いた。
ソニーから独立し「法人特化」「海外撤退」を決断
── 法人事業が売上げの9割を占めていると伺いました。その背景を教えてください。 山野正樹社長(以下、山野氏):10年前にソニーから独立する際、2つの決断をしました。1つは海外事業からの撤退、もう1つが法人市場に舵を切ることです。 個人向けだと、新しい製品を次々に出さないといけない。ビジネスの継続のために、顕著な需要が見込める法人に舵を切ろうと決めたんです。 ただ、法人市場での実績はなかったので、当初は非常に苦労しました。 3年半前に社長に就任して思ったのは、VAIOの製品は法人に必要とされる堅牢性や品質面でも申し分ないが、それをアピールできていないということです。 そこでまず、大企業への「ハイタッチ営業」(代理店等を挟まず直接顧客とやりとりする営業手法)をやりました。 そこで実績を作ると同時に、ディストリビューターである特約店、販売店との関係づくりに取り組んで、それがようやく花開いてきたという感覚です。 我々が直接売るだけではレバレッジが効きませんが、ディストリビューターからもVAIOの良さが広がった結果、販売数が右肩上がりで増えてきました。 ── 企業には、VAIOのどういったところが評価されているのでしょうか? 山野氏:商品理念である「カッコイイ、カシコイ、ホンモノ」に尽きると思います。 カッコイイは、VAIOがVAIOたる所以。今回のVAIO Pro PK-Rでもディープエメラルドという新しいカラーに挑戦しています。 法人向けと言えば「黒」か「シルバー」が定番ですが、VAIOでは以前から展開している「ブロンズ」が今では人気色になっています。 とはいえそれだけでは、法人向けには売れません。当然ながらヘビーな使用にも耐えられる堅牢性や高い品質が求められます。 そこには自信を持っていますが、今回の新製品では従来よりも検証のステップを一段階増やして、さらなる堅牢性の向上に取り組んでいます。