3A最多勝 村田の前にメジャーの壁
では、村田はどういう立場にいるのか。決してプロスペクトと言えない彼は、6月28日に前日の試合が雨で中止となり、その日がダブルヘッダーとなった関係で先発機会を与えられたが、翌日には予定通りマイナー降格となった。その時点で彼は、メジャ ーの試合に出場する前提となる40人枠にまだ入っており、その後、インディアンズの先発陣に何かがあれば再度、昇格できる状態だったが、約1ヶ月後の7月31日、40人枠から外され、今もそのままだ。 これは、インディアンズが村田を戦力としてそれほど高く評価していない、と考えられるが、驚くほどのことでもない。今年、パシフィックコースト・リーグで最多勝だったニック・グリーンウッドは9月2日に昇格したが、4日に降格。9日に戦力外通告を受けた。最多勝になんの保証もないことは、この例でも分かる。 村田はそうした厳しい世界に身を置いており、30歳という年齢も考えると、今後昇格できるかどうかわからないが、少なくとも今年、最多勝を獲ったことで「僕は、ここにいます」と存在感を示した。 彼のような立場では、メジャーでの登板機会が”与えられる”わけではない。声を上げ続けて、ようやくチャンスが掴める。今後、6月28日のようにメジャーでの登板機会を得たら、結果を残すしかない。彼がメジャーに残るとしたら必要なのは、マイナーの15勝ではなく、メジャーの1勝なのだから。 (文責・丹羽政善/米国在住スポーツライター)