「木を切る改革」大阪市の樹木大量撤去に市民からの反対の声高まる
大阪市が「公園樹・街路樹の安全対策事業」として倒木などのリスクがある樹木約1万9000本の伐採・撤去を進めていることに対し「大阪市の街路樹撤去を考える会」(以下「考える会」)が健全な樹木も伐採対象になっているとして事業見直しを求めるオンライン署名を展開している件については昨年11月17日号で報じた。以後も市内各地の公園では市民が集まって市側に説明を求めるなど、維新市政の「木を切る改革」と揶揄される事業への反発が強まっている。 1月5日、扇町公園(北区)の伐採対象になっているケヤキの前で、SNSなどで集まった市民約30人が市の澤利彦緑化課長と扇町公園事務所職員に説明を求めた。市側はこのケヤキの伐採理由について、大枝に樹皮欠損が多数あり樹木医の診断で「異常あり」となったことや、根が露出し根上がりによって園路の縁石が持ち上げられていることなどを挙げた。 これに対し「考える会」の谷卓生さんは、市から入手した資料を基に、樹木医の判定が「剪定または保存」であり「撤去」の必要性を認めていないと指摘。この程度の根の露出なら他の公園でも見られるほか、縁石も数センチ持ち上がっているだけなので補修すればすむことだと反論した。 続いて市民らが次々と発言。 「樹木医が伐採の判定をしていない木をなぜ切るのか」 「補修したり剪定するなど、切る前にすることはいくらでもある」 「切るということは木からすれば人間に殺されるということや」 「初めに伐採ありきでなく、立ち止まって考えてほしい」 扇町公園では1月10日ごろからケヤキなど樹木56本の伐採に着手する計画だったが、寒風の中で2時間を超える話し合いの末、澤緑化課長は「いったん持ち帰って検討する」と回答した。 昨年12月25日には、北大江公園(中央区)に市民約10人が集まり大阪城公園事務所職員から説明を受けた。同公園ではヒマラヤスギ7本とサワグルミなど5本が伐採対象。特に前者は根が浅くて倒れやすいため、すべて伐採するという。 「考える会」の谷さんは、同会が依頼した樹木医が園内のヒマラヤスギについて「安全・安心に支障を来す事情は特に見当たらない」と診断し、ヒマラヤスギというだけで全部伐採するのは聞いたことがないと指摘したと反論。 市に説明会の開催を求めた、近くのマンションに住む女性は「二酸化炭素を吸って地球の温暖化対策に貢献してくれている緑を、育ちすぎて危険だから切リましょうとは。木の命をどう考えているのか」と疑問を投げかけた。