“芸能界のドン”田邊昭知氏が会長に転身 過去に数々の女優と浮名を流した「人心掌握術」とは
「見ていて下さいよ」
だが、方々に影響力を持つ田邊氏にとって長年の懸案だったのが、自身の後継者問題だ。今回の社長交代で解決を見たのか。 “終活問題”も含めて田邊氏本人に問うと、 「(終活なのかは)あなた方が勝手に思っている話でしょう。社長が新しくなれば、それなりのことができる。日にちはかかるかもしれないけど、まぁ、見ていて下さいよ」 そう話すだけだったが、改めて事務所に質問状を送ると、新社長となった菅原氏が対面で応じた。 「昨年から、田邊会長は“何か新しいことをやりたい”と仰っていましてね。音楽の世界でもアーティストがネット配信やサブスクなどを通じて自己完結できる時代にあって、メジャーのレコード会社やプロダクションも、何か新しいことを考えて行動しないといけないと話をしていたところだった。私としても、研ナオコさんとか、ドリフとも共演できる由紀さおりさんとか、歌も芝居も笑いもできるような逸材、現代のコメディエンヌを見つけ出したいと思っていましたので」
“着服疑惑”については…
最終的には年末から年明けにかけて、新社長就任の打診を受けたという。 「田邊会長から“一緒に新しいことをやろう”と言われ、私も“はい、分かりました”と応じて社長就任が決まりました。私が言うのもおこがましいですが、ある部分で気心が知れているというか、会長からご指導をいただいて50年にもなります。1984年に一度、事務所を辞めていますが、それからも月に2、3度はお会いして相談に乗っていただいておりましたから」 過去の“着服疑惑”については、こう話す。 「あの時、安月給なのに銀行の方に無理にローンを組んでいただいて、分不相応の戸建てを買ったことで、周囲から“アイツは悪いことをしたんじゃないか”と言われたことはありますが、着服が本当にあったなら、田邊会長も私に声をかけないでしょう。そういううわさが出ているなら、それは私の日々の行いが良くなかったということだと思います」 時に人事刷新は組織にとって希望の光となるが、“ドン”の決断は果たして新たな夜明けとなるか。たそがれ時の残照となってしまうのか。 「週刊新潮」2024年3月7日号 掲載
新潮社