まき餌釣り、茨城県も解禁 全域規制、全国で唯一 区域を毎年設定
茨城県は来年4月にも、県内全ての海岸や洋上で禁じている「まき餌釣り」の規制を解除する。海洋環境に配慮したまき餌の普及で全国的に規制が緩和傾向にある中、全区域で禁じているのは全国で茨城県のみとなっていた。今後は毎年、漁業者らとの合意を図り、洋上や沿岸区域ごとに規制場所の設定やまき餌の使用量を定める仕組みとする。 まき餌釣りは、水中にオキアミなどの餌をまくことで魚を誘引する。従来は赤土などが使われ、海底に堆積すると海藻の育成を阻むことから全国的に規制されていた。県は1964年以降、「県海面漁業調整規則」で全ての海岸や洋上で規制し、違反した場合は2万円未満の科料を命じる罰則もある。 一方、近年は海洋環境に配慮したまき餌が浸透。多くの釣り客がまき餌釣りを楽しむなど「実態に合わない」(県担当者)状況にあった。水産庁は2002年、漁業に支障がなければ規則を見直すよう通知。全国的に解禁が進み、今月15日には東京都が解除したことで、全域で規制するのは茨城県が唯一となっていた。 こうした状況を背景に、県は来年4月をめどに規制を解除する方針を固めた。まき餌釣りの解禁後は毎年、漁業者や学識経験者らによる「茨城海区漁業調整委員会」で、海岸や海上など区域ごとに規制を指示する仕組みに見直す。 10月に開かれた同委員会では、来年度の規制場所について、同県鹿嶋市新浜の「鹿島港魚釣園」を除いた沿岸区域と洋上を指示する案を提示。まき餌の使用量に、1人当たり1日2キロ以内の制限を提案している。 県は規則改正に対する意見公募(パブリックコメント)を12月10日まで実施。水産庁の認可や知事承認を経て、来年4月の施行を目指している。 隣県では、福島県が海岸や洋上の全域でまき餌釣りの規制を解除。千葉県は規則を解除した上で、銚子、勝浦、鴨川市の沿岸で規制を設定するほか、まき餌の使用量を1人当たり1日3~5キロに制限している。 県漁政課によると、県内では釣りがレジャーとして定着し、近隣県からを含め釣り客は多い。同課の担当者は「まずは第一歩として(鹿島港魚釣園の)1カ所で解禁される見通しとなった。今後、漁業者との折り合いが付けば解除区域が拡大していく可能性もある」と話した。
茨城新聞社