第1回金沢大「宮本賞」 市民活動部門に沖縄環境ネットワーク、図書部門で星野高徳氏(琉球大教授)
環境経済学の国際的先駆者である宮本憲一氏からの寄付を基に、環境や自治などの分野で業績を上げた研究者や市民活動を顕彰する第1回金沢大学宮本賞の市民活動部門に、沖縄環境ネットワークが選ばれた。図書部門で、星野高徳氏(琉球大学国際地域創造学部教授)の「屎尿処理の近現代史―汲取から下水処理への転換」の授賞が決まった。金沢大が18日、発表した。表彰式は11月6日に行われる。 【写真】イチから分かる!「普天間・辺野古」そもそもどんな問題?
沖縄環境ネットワークは、住民の視点で公害や開発の問題に取り組んできた沖縄大学名誉教授の故・宇井純氏が中心となり、1997年4月に設立された。現在は9人の世話人を中心に運営している。 平和を求める「沖縄のこころ」と「環境の維持可能な発展」が織りなす持続可能な地域の形成に向けた課題解決に取り組んできた。 辺野古新基地建設や有機フッ素化合物(PFAS)などの軍事基地に由来する問題から、リゾート開発問題、赤土や畜舎排水、ゴミ処理などの生活環境問題まで幅広く発信。国内外の環境NGOと連携した国際会議も沖縄で開いてきた。 金沢大は受賞理由について、「厳しい諸状況に置かれた沖縄において、一貫して、平和、環境、自治、人権という21世紀における最重要課題への地道な取り組みを進めてきた点を評価した」と説明している。(南彰) <金沢大学宮本賞> 財政、地域、自治、環境に関する社会科学の分野で顕著な業績を挙げた研究者や市民活動を顕彰し、社会貢献と日本の学術研究のさらなる発展に資することを目的として、金沢大が2024年に創設した。金沢大名誉博士で、同大の前身の一つである旧制第四高校出身の環境経済学者、宮本憲一氏の寄付を原資にしている。宮本氏は、公害問題やまちづくりなどに取り組む多くの市民活動に貴重な理論的指針を与えてきた。
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