『ブギウギ』スタッフ全員も熱狂の『歌合戦』撮影秘話 制作統括が驚いた草彅剛の変化も
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』が現在放送中。“ブギの女王”と呼ばれる笠置シヅ子をモデルに、大阪の銭湯の看板娘・花田鈴子=福来スズ子(趣里)が戦後のスターへと上り詰めていく姿を描く。 【動画】水城アユミ(吉柳咲良)「ラッパと娘」フルバージョン 第25週では、スズ子の脅威となる若手歌手であり、大和礼子(蒼井優)の娘・水城アユミ(吉柳咲良)が初登場。『オールスター男女歌合戦』での競演が決まると、アユミは父・股野義夫(森永悠希)とともに「ラッパと娘」を歌いたいとスズ子に頼み込む。 制作統括の福岡利武は「股野さんは、アユミが小さな頃から『スズちゃんは僕とお母さんと一緒に舞台をやっていた人なんだよ』と、スズ子の歌を聴かせていた。その中で育ったアユミだからこそ、『ラッパと娘』に強い憧れがある、というところを感じてもらえたら」と思いを語る。 スズ子の葛藤を経て、迎えた『オールスター男女歌合戦』。アユミを演じる吉柳咲良のパフォーマンスについて、福岡は「スズ子とはまた違った楽しさがある、パワフルで素敵な歌だなと思いました。吉柳さんもかなり練習を重ねられて、パンチのあるステージになっていて面白かったです」と称賛する。 「『ラッパと娘』はとても難しい歌で、どう解釈するかで歌い方もまるで変わってきます。勢いよく歌うのか、カッコよくクールに決めるのか。とても難しいところですが、水城アユミというキャラクターでは、若さはじけるエネルギッシュなステージにしたい、といった方針で歌っていただきました」 一方で、歌合戦のトリを務めたスズ子が見せたのは、貫禄を感じさせる圧巻のパフォーマンス。「『ヘイヘイブギー』はそれほど大きく踊らないので、ダンスで魅了してお客さんを食いつかせることができない歌なんです。ですが、『ヘイヘイ!』というコールアンドレスポンスをうまく使うことで、楽しい舞台になりました。魅せ方が新しい局面に入ってきたということで、趣里さんもすごく集中されていましたが、これまでにたくさんのステージを行ってきたという自信もあったと思います。僕も含めて、スタッフみんなで『ヘイヘイ!』と盛り上がっていました」 『オールスター男女歌合戦』では、茨田りつ子(菊地凛子)をはじめ、たくさんのキャストがステージに集結。福岡は「OSK日本歌劇団の方や、歌唱指導のゆうきさんにも入っていただきました。趣里さんとしても、知らないわけがない人たちがたくさんいらっしゃって、楽しんでいただけたのかなと思います」と振り返る。 「実は今現在のOSKの男役トップスター・楊琳(やんりん)さんも、青いスーツ姿で出ていらっしゃいます。楊さんのほうから“是非どこかで『ブギウギ』に出たい”とお声がけいただいて、今回出演していただきました」 そんな綺羅びやかなステージと対照的だったのが、番組を見る羽鳥善一(草彅剛)の表情。福岡は「台本には、歌合戦が始まるところでは、<善一はどこか泰然自若とした雰囲気で見ている>と書かれています。『ヘイヘイブギー』を歌っているところでは、<麻里と子どもたちは手を叩いて聴いている。善一ははしゃぐでもなく、ほほえみを浮かべて目を閉じて聴いている>と意味深なト書きになっていますが、第26週でこのときの善一はどんな思いだったのかを語る場面がありますので、楽しみにしていただけたら」と呼びかける。 「草彅さんは、第25週、26週の表情がすごく良くて、本当に善一にしか見えないといいましょうか。少しいつもとは違っていて、(『ラッパと娘』をアユミに歌わせることについて)『そんなに軽く言わないでほしいな』というところはドキッとしましたし、より鋭さを感じて。普通はもうちょっと違うアプローチをするのかもしれませんが、善一がキレキレになっていくところに緊張感があって、素晴らしい表現だなと思いました」 なお、第25週のタイトルは「ズキズキするわ」。劇中のセリフでは「ワクワクする」が数多く登場したが、福岡は「スズ子としては、ワクワクよりもズキズキゾーンに行ってしまっているのではないかなと。週タイトルの付け方は本当に難しくて、『マミーのマミーや』にしたときには、ネタバレになっていて泣けなかったというご意見に『ああ、失敗したのか』と思ったり……。そういったことも含め、最終週を前にいろいろな意味で“ズキズキする”という感じでしょうか」とした。 次週、いよいよ最終週。スズ子がどんな舞台でフィナーレを飾るのか。まさにズキズキワクワクの1週間になりそうだ。
nakamura omame