大阪に現存する最古の喫茶店『平岡珈琲店』で100年以上愛されるコーヒーを味わう
●大阪・本町にある大正10年(1921年)創業の喫茶店『平岡珈琲店』。100年以上愛され続ける理由を探ってきた。
大阪のビジネスの中心といわれる本町エリア。オフィスビルが乱立する街の一角に、100年以上続いている喫茶店があります。『平岡珈琲店』は大阪メトロ本町駅から徒歩3分の場所にある、大正10年(1921年)創業の老舗。大阪で現存する最古の喫茶店と言われており、コーヒー好きなら一度は訪れたい名店です。 大阪に現存する最古の喫茶店『平岡珈琲店』の関連画像 千葉県出身の初代店主が東京・銀座にある『カフェ―パウリスタ』のコーヒーとドーナツに惚れ込んで開業したのがはじまりなのだそう。
木で統一された店内はこじんまりしていて、ほっと落ち着く雰囲気。音楽は流れておらず、コーヒーを淹れる音や時計のカチカチという音だけが聞こえてきて、静かな時間を過ごせます。
いまでは珍しいボイリング法で淹れた「百年珈琲」
さっそく看板メニューの「百年珈琲」を注文してみました。同店のコーヒーは、ボイリングという珍しい方法で淹れるのが特長なのだとか。サイフォンやフレンチプレスなどは他の喫茶店でもよくありますが、この手法で淹れるコーヒーを飲むのは初めてです。店員さんにお願いして、淹れ方を見せてもらいました。 創業当時から使われているホーロー鍋でお湯を沸かし、お店の最上階で自家焙煎した深煎りのコーヒー豆を投入。ぐつぐつ沸かして木綿で濾し、ぎゅっと絞ったら出来上がりです。現在、ボイリング法でコーヒーを提供するお店はほとんどありませんが、1930年代までは一般的な方法だったのだそう。100年以上続く喫茶店だからこそ味わえる至高の一杯です。
淹れたての「百年珈琲」は、しっかり苦味が効いたコク深い味わいで口当たりはまろやか。濃厚ながらも後味はスッキリしています。大のコーヒー好きで数々の喫茶店やカフェを巡っている筆者ですが、ここまで苦味がガツンとくるのは珍しい! こだわって焙煎した豆を使い、ボイリング法という珍しい方法で淹れたからこそ楽しめる、今までに出会ったことのない味わいでした。
100年以上変わらない「百年ドーナツ」
コーヒーと合わせるのは、卵・小麦粉・上白糖のみで作る「百年ドーナツ」。初代店主が「カフェーパウリスタ」から特別にレシピを授かり、創業当時から受け継がれてきた名物メニューなのだそうです。毎朝1つ1つ丁寧に作り上げているため、1日に提供できるのは70個のみ。食べたい方は早めの時間に訪れるのがおすすめです。 こんがりと揚げられており外はサックリ、口に入れるとホロホロと崩れていきます。優しい甘さと素朴な味わいがコーヒーと相性ぴったりでした。