ブラックとボルドーの配色でSUVの力強さと高級感を演出した内装

　スズキが16日に発売した「フロンクス」の国内受注は16日時点で約9000台に上り、予想以上の反響という。日本の消費者ニーズや地理や道路に沿った設計、デザインを追求し、全国500カ所以上の先行展示の開催などこれまでにない規模の発信活動を発売前に展開。競争が激しい国内SUV（スポーツ用多目的車）市場で「新しい市場を切り開くモデル」（鈴木俊宏社長）として拡販を強化する。 　スズキの車づくりのノウハウと技術を結集し、SUVならではの力強さと、後部を傾斜させた流麗なクーペスタイルを小型サイズで両立。「競合車にうずもれない存在感」（森田祐司チーフエンジニア）にこだわった。力強さと美しさを融合させた外装デザインは競走馬「サラブレッド」のイメージも発想の起点になっているという。 　遮音壁の配置や疲れにくいシートを採用するなど前席、後席の静粛性と快適性を向上。高さが約1・5メートルと立体駐車場に入り、車の最小回転半径は国内小型SUVクラストップ（スズキ調べ）の4・8メートルと取り回しの良さも実現したという。 　今回の日本のニーズや環境に沿った開発は、2016年に日本に投入し販売終了した小型乗用車「バレーノ」で経験した“教訓”を生かした。鈴木社長は当時、降雪地への対応やミラーの電動格納に対応していないなど「日本で求められる仕様とずれていた」と分析。問題を徹底的に見直した。「現在は海外のどこで生産しても、『スズキ生産』として同じ品質基準を徹底している」と強調した。 　7月から特設サイトで情報発信したほか、全国537カ所の先行展示を実施した効果は受注件数に表れた。玉越義猛日本営業本部長は「他社とも差別化できている。ぜひ体感してほしい」として今後も試乗機会を通じて認知度を高める。 　インド生産車の輸入拡大の可能性について、鈴木社長は「インドは量産効果のメリットはあるが、市場が伸びている中で、単純に日本に持ってこられない。今後の伸びを踏まえて戦略を考えていく」と述べた。