大リーグの監督の年俸が「大学野球の監督より安い」珍現象を招く2つの構造的要因(友成那智)
【メジャーリーグ通信】 メジャーリーグは監督の年俸が安い。 今季の平均年俸は250万ドル(約3.8億円)で選手の平均年俸498万ドル(約7.5億円)の半分程度だ。監督の年俸の最高額はカブスのカウンセル監督(54)の800万ドル(約12.2億円)だが、これはカ軍がライバル球団・ブルワーズの常勝監督をカネで引き抜いたため高額になった特殊なケースだ。それ以外は500万ドル(約7.6億円)以下だ。現在ワールドシリーズで金満球団のドジャースとヤンキースが戦っているが、この2球団も監督の年俸だけは格安である。 ❤SEXYすぎるっ!!!❤ 真美子夫人、思いがけず「肩がポロリ…❤」でお慌ての瞬間! ドジャースのロバーツ監督(52)は2016年に監督に就任後、毎年チームをポストシーズンに導いている有能な指揮官なのに年俸は325万ドル(約4.9億円)で控え選手と同レベルだ。同様にヤンキースのブーン監督(51)も7年間で6回ポストシーズン進出を果たしているのに年俸は330万ドル(約5億円)で、金満球団の監督らしからぬ額だ。 監督の中で最も人数が多いのは年俸が80万~120万ドル(約1.2億~1.8億円)しかないグループで12人もいる。これはルーキーの年俸(74万ドル=約1.1億円)より多少高い程度だ。 「USAトゥデー」によると、米国では大学野球の監督の年俸が上昇し、120万ドル以上の監督が10人もいる。メジャーには、こうしたアマチュア野球の監督より年俸が安いプロの監督が12人もいるのだ。 メジャーの監督の年俸は、なぜ、ここまで低下したのだろうか? 理由は2つある。監督という仕事は、ひと昔前は大きな存在でチームの顔だったが、現在はGMに権限が集中するようになったため、監督はGMの使用人という位置付けになった。そのためGMの多くは高年俸で扱いにくい大物より、自分のイエスマンになってくれるうえ、低年俸で雇える若い人を選ぶ傾向が強くなり、薄給の監督が増加する結果になった。 もう1つは、年俸より年金のことを考えて、監督になる者が多くなっていることだ。メジャーでは現在、スター選手が引退後、監督になるケースはまれで、現在務めている半分以上はメジャー経験なしか、「カップ・オブ・コーヒー」(メジャーに短期間在籍しただけでまたたく間にマイナーに逆戻りする選手)組だ。彼らがどんなに低い年俸でも監督になりたがるのは、3、4年やると62歳から死ぬまで毎年高額な年金を支給されるようになるからだ。 3年で毎年8万2500ドル(約1250万円)、4年で11万ドル(約1670万円)支給されるため、老後の心配がなくなる。表には出ないが、こうした年金目当てで監督になる人が増えていることも、年俸低下に拍車をかけているのだ。 (友成那智/スポーツライター)