ジャニー氏性加害“誰も止められなかった”構造とは 「マスメディアの沈黙」指摘重く受け止め 日本テレビもコメント
■相互チェックで再発防止 ジャニーズ問題きっかけに 社会全体で人権を守る構造に
有働キャスター 「調査チームは再発防止策も提言しましたね」 小野解説委員 「はい。踏み込んだ提言でした。再発防止策として、事務所は事実を認めて謝罪をすること、被害者救済措置制度を構築すること、そして、ジュリー氏は代表取締役社長を辞任すべきである、また、メディアと対話して相互に監視・けん制する関係で人権侵害の再発を防止していく、といったことが挙げられています」 職場における性被害に詳しい日本女子大学の大沢真知子名誉教授は、今回の報告書を評価しています。 大沢真知子名誉教授 「ジャニー氏個人を断罪して終わりでなく、それを見逃していた経営者に責任があり、さまざまな構造的な問題があったことを報告書は指摘している。ジャニーズの問題をきっかけに、 日本社会全体で人権を守れる社会・企業の構造について考えていかないといけない」
■“外圧からしか変わらない日本”が浮き彫りに… どうやって抜本的な変化を?
有働キャスター 「落合さん、この再発防止策では、利害関係のある企業がなれあうのではなく、互いにチェックする体制に、ということなんですが、どうすればいいと思われますか?」 落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー) 「これ、結構考えたんですけど日本のマスメディアに利害関係がない企業がほとんどないので、本当に難しい問題だと思います。メディア含めた日本社会は基本的に忖度で成り立っているので、利害関係のある企業がお互いにチェックするようになるのは、このままでは難しいかなと思います。 改めて、日本社会は外圧からしか変わらないことが今回のことで浮き彫りになったと思います。たとえば、BBCが扱わなかったらいまの状態は起きなかったし、もし、日本のメディアが本気で変わろうとするならば、経営陣に外国出身者など日本の“なれあい文化”に絡め取られない人が入るとか、そういう抜本的な変化がないと難しいな、とは思います」 ◇ 有働キャスター 「私自身も、メディアに身を置く1人の人間として、こうして指摘を受ける前に、行動を起こさなかったことを恥ずかしいと思っています。 海外の人権問題は徹底的に批判するのに、もっと近くにあった問題はちゃんと取材して知ろうとしませんでした。きょう『マスメディアの沈黙』と指摘されましたが、私も含めたメディア1人1人に突きつけられている問題です。 なぜ沈黙してしまったのか、重く問われているという覚悟のもとに向き合っていきたいと思います」 (8月29日放送『news zero』より)