過去最高ペースの米社債発行、ゴールドマンやシティの利益を押し上げ
(ブルームバーグ): 米国では今年に入って社債発行額が過去最高ペースとなっており、引受手数料が銀行の利益を押し上げている。
ゴールドマン・サックス・グループの今年1-3月(第1四半期)の債券引き受け収入は社債発行ブームを追い風に6億9900万ドル(約1080億円)と前年同期から40%近く増加し、市場予想を上回る好業績に寄与した。
12日に公表されたシティグループの利益も社債発行の急増を背景に利益が市場予想を上回った。JPモルガン・チェースの投資銀行業務の手数料収入は21%増加。ウェルズ・ファーゴの収入は投資助言サービス手数料と仲介手数料の増収で押し上げられ、市場予想を上回った。
市場が米金融当局の利下げ見通しを後退させる中、企業は大統領選挙によって不確実性が高まる場合に備えて市場を活用する方向に向かい、債券発行ペースは加速している。また経済が好調でデフォルト(債務不履行)増加懸念が緩和したため、企業の合併・買収(M&A)は活発化し、企業のリスクスプレッドは低下している。
ブルームバーグ集計データによると、年初から4月12日までの社債発行額は過去最高の5737億ドルに達した。先の4行にバンク・オブ・アメリカ(BofA)とモルガン・スタンレーを加えた米銀6行が社債引き受けの上位に名を連ねる。
ただ、社債発行ペースが今後数カ月で鈍化する公算が大きいことを考えると、引受手数料による利益の押し上げは短期間で終わる可能性がある。多くの企業が現在の市場情勢を利用しようとして発行時期を前倒ししたからだ。
JPモルガンのジェレミー・バーナム最高財務責任者(CFO)は12日の決算発表時の電話会合で、「この四半期の資本市場の活動レベルは心強いが、そのうちのかなりの部分が前倒しによるものである可能性が高いことに留意する必要がある」と指摘。
M&Aの好調な動きが今後も続くかどうかはまだ不明であり、助言事業は「規制環境による構造的な逆風になお直面している」と同CFOは述べた。