「保険」と「ローン」は本当に必要? 人生の二大無駄について再考する
老後に向けた資産形成を考えた場合、私は「保険」と「ローン」は人生の二大無駄であり、必要がなければできるだけ利用しないのが賢明だと考えています。それはなぜそう考えるのか? 少し掘り下げて考えてみましょう。
保険は損を必要最小限にするもの
まず保険から考えます。そもそも保険というのは一体何のためにあるのでしょう? それは「人生において滅多に起こらないけれど、もし起こってしまったら大変なお金がかかり、しかもそれは自分の蓄えでは到底まかなえないことに備えること」です。 つまり、自分では払えないような大きな損害が起こったときのために大勢の人が少しずつお金を出し合い、不幸にしてそんな目に遭ってしまった人にお金を回してあげるシステムですから、保険の本質というのは少しの損で大きな損を防ぐというところにあります。 例を挙げると車を運転する人であれば、自動車保険は必ず入る必要があります。なぜなら運転していて、もし事故を起こして誰かを死亡させてしまえば、賠償金は億単位となり、普通の人ではとても自分のお金で払えないからです。そしてそういうことは個人にとっては滅多に起きることではありません。だからわずかな保険料でも多額の保障を得ることができるのです。 ところが対人賠償と違って、車両保険の保険料はかなり高いのが普通です。これは運転していてちょっと擦ったりすることは割とよく起きることだからです。したがって人によっては車両保険に入らなかったり、入ったとしても免責額を高くすることで保険料を安くするように工夫したりします。 つまり、自分のお金でまかなえることであれば保険に入る必要はありませんし、頻繁に起こることであれば保険料はかなり高くなるはずですから、保険よりも貯蓄で備えたほうが合理的なのです。 例えば民間保険会社の医療保険ですが、公的医療保険には「高額療養費制度」というのがありますから本人が負担するのは仮に治療費が100万円かかったとしても9万円ほどで済みます。しかも実際に医療保険から支払われるのは差額ベッド料などの部分です。 仮に毎月1万円ずつ医療保険を払い込み続けると10年で120万円、20年だと240万円になります。わたしならこのお金を貯金します。(実際にそうしています)なぜならもし病気になればこの貯金から自己負担の分、差額ベッド料も含めて払えばいいわけですし、病気にならなければほかの用途にも使えるからです。 こうして保険本来の意味を一つ一つ考えていくと入る必要のない無駄な保険にたくさん入っていることに気が付きます。その保険をやめて貯蓄や場合によっては投資に回した方がはるかにお金をしっかりと増やすことができます。