愛媛県で孤立や貧困抱える“特定妊婦”は270人…利用料や食費負担なし「産前産後ケアステーション」四国で初整備
“270人”。この数字は、愛媛県が把握している特定妊婦。貧困、DVや予期せぬ妊娠、若年妊娠など、出産後の子どもの養育について出産前から支援が特に必要と認められる妊婦の人数です。ここ数年を見ても200人以上と高い水準が続いています。 全国では…2009年が994人だったのに対し、2020年は8000人以上と11年で8.4倍となるなど、増え続けているんです。妊産婦と、生まれてくる命を守るため、県の新たな施設が完成しました。 清家アナ: 「こちらが今回整備された妊産婦用の部屋です。1DKの広さに、こちらにはお母さん専用のベッド、そしてベビーベッドも備え付けられています」 松山市にある愛媛母子生活支援センター内に今月開設する「産前産後ケアステーションえひめ」。予期せぬ妊娠などで困難を抱える妊産婦が安心・安全な生活を送るための居場所として県が、四国で初めて整備しました。部屋は2つあり、室内には、冷蔵庫や洗濯機などの家電のほか生活用品も完備しています。 産前産後ケアステーションえひめ 西﨑健志所長: 「沐浴できるグッズとか…身一つで来られてそのまま生活できるように準備している」 愛媛県が、妊産婦の生活援助を、喫緊の課題と位置づけ整備を進めてきた背景には…2年前、新居浜市で母親が出産したばかりの男の赤ちゃんをバスタオルで覆い、竹やぶの水路に放置して殺害する事件が発生。その後の裁判で、母親は浮気で妊娠した事実を隠すため、犯行に及んだことが明らかになりました。 また去年12月には、松山市の海でへその緒が付いた赤ちゃんの遺体が浮いているのが見つかる事件も起きています。 こども家庭庁の報告では2021年度に、虐待が理由で亡くなった子どもは全国で50人。そのうち半数近くの24人が0歳児でした。 県子育て支援課 阿部淳子課長: 「困難を抱える妊産婦さんの切れ目ない支援を県として取り組むことが非常に重要、喫緊の課題であると認識し、こういった施設の開設を急いで整備をした」 “居場所”を提供することで孤立や貧困などを抱える妊産婦を、そして産まれてくる命を守る。 産前産後ケアステーションえひめは、施設の利用料や食費の負担はなく妊娠初期から出産後1年まで利用することができます。 また、看護師、母子支援員、コーディネーターが専従し、健康相談やメンタルケアなど産前から産後まで、妊産婦の支援にあたるということです。 阿部淳子課長: 「まず日常の生活を安心した状態で向き合っていただくのが一番だと考えています。(赤ちゃんが)健やかに皆さんの愛情を受けて育つ、その出発地点としてこちらの施設がなればいい」 詳しくは、県内の市町の窓口 または 産前産後ケアステーションえひめ専用電話 089-925-2681