小田和正「積極的に一人になったわけじゃないからね」と語るソロ活動への思いと270万枚の大ヒット曲『ラブ・ストーリーは突然に』の誕生秘話
大ヒット曲『ラブ・ストーリーは突然に』の誕生秘話
──外の世界と交流し、つながりをもつようになってまもなく、大きな出来事として、テレビドラマの主題歌『ラブ・ストーリーは突然に』の大ヒットがあります。これは、どうしてお受けになったんですか。 レコード会社のスタッフから、「ドラマに使う曲が欲しいというオファーがあるんだけど」という話がきたときに、たまたま、ある曲のカップリング曲があって、「これをプレゼンしていいですか」と言われたんだ。 こっちはもう、べつに望みもないし、期待もないから、「いいよ」って返事をしたら、「向こうはいいって言ってます」と。「あれでいいんだ」と思いつつ、「ところで、どんなドラマなの?」って聞いたら、内容も知らずにもっていったというような話でね。 それで、いろいろ聞いたら、「じつは、『Yes‐No』の延長線上にあるような曲が欲しかったんですが、これでも十分いいです」という返事が返ってきたわけですよ。 そのときに、「なんだ、本当に欲しかったのは、これじゃないんじゃん」と思って、「じゃあ、書くよ」と言ったんだよ。時間がどれくらいあったか覚えてないんだけど、たまたまアイデアを一つもっていたから、「じゃあ、これで書いてみよう」と思ったんだよね。 ──『ラブ・ストーリーは突然に』は270万枚の大ヒットとなり、当時のCDの最高売り上げ記録を書き換えました。 一人になってから、ほんの1、2年くらいの出来事だったのかな。みんなびっくりしたね。 みんながびっくりして、どうなのこれ、って言って。だから、ちょっとごほうびが早すぎたなと思ったの。このヒットに足をすくわれたりしちゃいけないなという気持ちがすごくあった。 スタッフにも、「これはたぶん、まぐれ当たりみたいなもんだから、こんなときこそ謙虚な気持ちで臨もう」と言ったし、そんなことを、すごく事務所で話しあったね。 著/小田和正 サムネイル/左:『時は待ってくれない 「100年インタビュー」保存版』(PHP文庫)より。右:1991年2月6日発売『Oh!Yeah!/ ラブ・ストーリーは突然に』(Sony Music)