「まさか自分が…」医学生時代に下半身まひ リハビリ支える“車いすの医師”「自分らしく生きて」 自身の経験を生かし患者に寄り添う
■「自分らしく生きる」
不安を抱えながらも加藤さんは筋トレなどリハビリに専念します。 加藤雄大医師: 「自分でできることが一つずつ増えていくのは、『自分らしく生きる』ことを取り返していくことにつながっていた」 車いす生活のトレーニングは1カ月半続きました。そのあと、日常生活への復帰に向けて、「県立総合リハビリテーションセンター」へ。
加藤さんの主治医を務めた清野良文所長。当時の加藤さんの様子をよく覚えています。 当時の主治医・清野良文所長: 「加藤先生、その時は加藤君だったんですけど、通常は受傷した自分をまだ受け入れられない。かなり落ち込む人もいるけど、落ち込んで暗くなって、やる気がないということは決してなくて、朝よく寝て、訓練はしっかり頑張る、隠れたところで一生懸命勉強している患者だった」 加藤雄大医師: 「学生時代の友達が、けがしても車いすで医師をしている方もいると調べてくれたり、まだまだできることがあるんじゃないかと励ましてもらって」
■自身の経験を生かし
リハビリと受験勉強に励んだ加藤さん。翌年、医師の国家試験にみごと合格。 さまざまな診療科がある中、「リハビリテーション科」の医師を目指しました。 加藤雄大医師: 「一度失ってしまっても、まだ取り返せる手段はあると身をもって実感した。患者の助けになる、力になれる領域だなと思っている」 加藤さんは、信大附属病院などで経験を積み2023年、かつて患者として通った「センター」に医師として戻ってきました。
5月15日ー。 加藤雄大医師: 「おはようございます」 朝8時半、加藤さんは車で出勤。
「センター」は、病院と障がい者支援施設が同じ建物にあり、医療ケアから生活復帰、職業訓練などを総合的に行っています。
こちらは、県内唯一の障がい者のための自動車運転訓練施設。加藤さんもここで練習しました。 運転訓練を担当・永瀬理恵さん: 「(加藤さんは)すごく優秀で、すぐ操作を取得して、路上にもすぐ出られました。実質8時間程度しか乗っていない」